2012.1.20
停止中の原発再開の前提となるストレステストについて、原子力安全・保安院が大飯原発の結果を妥当と判断したことに対し、反発が強まっています。今後、原発の再稼働はどうなるのか水野倫之解説委員にききます。
Q:大飯原発についての会議では反対派の抗議や、委員が退席したりと混乱した。
A:直接の原因は、保安院側が会議を傍聴させなかったことだが、
その根底にあるのは国への不信。
ストレステストは想定を上回る津波などに襲われた場合、
炉心損傷に至るまでにどれくらい安全上の余裕があるのか示すもの、
政府が再稼働の判断材料としていること自体に不信が高まっている。
Q:それはどういうこと?
A:テストによって安全の余裕はわかる。
大飯原発では想定の1.8倍の揺れ、また津波は想定の4倍の11.4mのものに見舞われても
炉心損傷することはないことがわかったと、保安院は説明。
ところが計算のもととなる想定は、
おもに震災前の国の安全基準で決められたものが使われている。
今回の事故では安全基準が破たんしたことが明らかになっているので、
それに基づいて計算して安全だと言われても信用できない、
「再稼働ありき」のテストではないかというわけ。
Q:それに対して政府はどう説明している?
A:各原発では電源車を設置するなど
事故をふまえた緊急の安全対策を取っていると説明するも、
応急的な手当てにすぎない。
確かに安全基準を全面的に作り替えるのは時間がかかるが、
先月政府の事故調査委員会が中間報告。
そこで示された教訓を反映した暫定的な基準を示して計算するなど、
信頼される結果を示していく必要。
Q:今後、原発の再稼働はどうなる?
A:政府はすべての原発がとまる春までには一部の原発の再稼働にこぎつけたい考え、
最終的には野田総理大臣らが判断。
しかし大飯原発の地元の福井県も「ストレステストで再稼働は認められない」としており、
このままでは再稼働は難しい。
これだけ反発が強まっているのでストレステストの結果をどう扱っていくのか、
政府は再稼働への手順をあらためて説明することが求められる。
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