地球と7代先のこどもたちを元気にしてゆく情報発信サイト
Header

後任はムラの中心人物

原子力規制委人事の裏側。審査厳しい委員再任せず 投稿者 kotetsu1111

 

政府は、任期満了を迎える原子力規制委員会の二人の委員、島崎邦彦氏と大島賢三氏を再任せず、交代する同意人事案を国会に提出した。とくに地震学者の島崎氏は専門領域からの判断で厳しい安全審査姿勢を持っており、再任されるか注目を集めていたという。 (続きを読む…)

 

福井県にある関西電力大飯原子力発電所の3号機と4号機の安全性を巡る裁判で、福井地方裁判所は「地震の揺れの想定が楽観的で、原子炉を冷却する機能などに欠陥がある」と指摘し、住民側の訴えを認め、関西電力に対し運転を再開しないよう命じる判決を言い渡しました。
福島第一原発爆発事故以来、原発の再稼働を認めない判決が出されるのは始めてのこと。

福井県にある大飯原発の3・4号機は、福島第一原発爆発事故のあと、おととし運転を再開しましたが、去年9月に定期検査に入り、現在運転を停止中。
現在、全国で稼働している原発はゼロで、各地の原発が避難計画も住民の合意もない再稼働をもくろんでいる中での判決であり、今後の原発行政に影響を与えそう。

NHK 大飯原発 運転再開認めない判決

 

東京新聞は2月6日、中部電力が14日にも浜岡4号機の再稼働に向けた「安全」審査を原子力規制委員会に申請すると報じている。(中部電、浜岡4号機の審査申請へ 再稼働向け14日にも 東京新聞

(続きを読む…)

 

原子力発電を導入する最も大きな理由であった「核燃料サイクル」が増殖炉の未完成と燃料再処理工場の未稼働のため挫折したことにより、付け焼刃として登場した「プルサーマル計画」。

このプルサーマル計画に使用するMOX燃料がフランスから海路、日本に向かっており、6月には到着し福井県の関西電力高浜原子力発電所3号機で使用される。

MOX燃料(モックスねんりょう)とは混合酸化物燃料の略称であり、原子炉の使用済み核燃料中に1%程度含まれるプルトニウムを再処理により取り出し、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜてプルトニウム濃度を4~9%に高めたものである。

読売新聞が4月30日付の社説で「核燃料サイクル プルトニウムの確実な利用を」とプルサーマル用MOX燃料のフランスからの輸入を知らせているが、プルサーマルは核燃料サイクルと同一ではないことは留意しなければならない。

核燃料サイクル プルトニウムの確実な利用を(4月30日付・読売社説)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130429-OYT1T00960.htm

プルサーマル用に取り出されたプルトニウムは20トンにのぼっており、読売はその利用が日本の責務だと書いている。
社説は六ヶ所再処理工場にまでおよび、事故と故障続きで稼働が困難な状況を「完成間近」と嘯いている。

ちなみに六ヶ所再処理工場は2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により外部電源を喪失、非常用ディーゼル発電機2機で冷却水循環ポンプ等に給電したが、14日23時40分、ディーゼル発電機1機に不具合を生じたため停止して外部電源を使用、2時33分に給電が復旧した。残る1機も外部電源に切り替えた。また13日には使用済み核燃料の貯蔵プールの水約600リットルが溢れていたことなどが報じられた。

wikipedea「六ヶ所再処理工場」

 

2月28日午後、安倍晋三首相は、衆参両院の本会議で行った施政方針演説で、エネルギー政策に関し、原子力規制委員会で安全が確認された原発は再稼働する方針を国会で初めて明言。自民党としての原発維持の基本方針をあらためて示したことになる。

首相の語る「安全文化」とは?

施政方針演説では「原子力規制委のもとで安全性を高める新たな安全文化をつくり上げる。その上で、安全が確認された原発は再稼働する」と強調して語った。

首相の語る「安全文化」とは一体なんなのだろうか。今回の福島第一原発でおきたようなレベル7級(周辺環境への放射性物質放出を伴う事故)の原子力災害に対し、「文化」が何の役にたつのだろうか。
首相を含む自民党、そして経団連が新たにつくりあげようとしている「安全文化」は、国民の生活を原発および原発から放出される放射能から守るための安全ではなく、国民に原発は安全だと信じ込ませるための文化、つまり原発事故前の「安全神話」と同様の言葉にしか聞えない。

国民が本当に求めているのは、「二度と放射性物質放出を伴う原発事故が起きない」ということであり、決して机上の安全ではない。

福島第一原発の事故が収束しておらず、活断層の問題もクリアになっていない状況の中、経済のみに観点をおいた早急な原発再稼働への道筋を示した。
筆者には、今回の首相演説はそう思えてならない。

元記事→ 東京新聞 2013年3月1日 朝刊

【関連記事】
東通「活断層」 再稼働より、安全優先 / 2013年2月20日
東通原発の「クロ」判定で業界が恐れる“活断層ドミノ” / 2013年2月28日
敦賀原発直下「活断層の可能性」 再稼働困難、廃炉も / 2012年12月11日

 

朝日新聞に衝撃に記事が掲載された。
内容はいまもなおメルトダウンした燃料の回収の見込みもなく、高濃度の放射能により長時間の修復作業もできない東京電力福島第一原子力発電所で収束作業で被曝(ひばく)させられたと、東京電力の責任を問い、元請け会社の関電工を告発した作業員(46)の現場作業の詳細な告白である。

以下記事をそのまま転載する。

—-以下 朝日新聞より転載—————–

 ●「被曝労働の実態 改善して」
 福島第一原発事故の収束作業で被曝(ひばく)させられたと、東京電力の責任を問い、元請け会社の関電工を告発した作業員(46)=いわき市在住=が、朝日新聞の取材に応じた。作業員は「被曝労働の実態を明らかにして、今後の作業環境を改善してほしい」と訴えた。支援する弁護団は「何次にもわたる下請け構造が無責任体制の根源にある」と批判している。

 ●湯気立つ水面「あり得ない」
 階段下の地下室をヘッドライトが照らした。うっすら湯気の立つ水面が見えた。「あり得ない」。たまり水は、高濃度の放射性物質で汚染された水だ。家で待つ子どもの顔が脳裏に浮かび、身体が震えた――。
 原発事故からまもない昨年3月24日午前のことだった。福島第一原発3号機。原子炉タービン建屋に関電工社員らと6人で入った。地下室の電源盤にケーブルをつなぐ作業にとりかかった。
 作業を開始して数分後、線量計の警告音が次々と鳴りだした。設定は毎時20ミリシーベルト。動揺する作業員に、関電工の社員は「故障もあるし、誤作動もある」となだめた。
 地下への階段に身を乗り出すと、線量が高くなり、コンクリートの壁に隠れると低くなった。
 茨城県内の高校を中退し、さまざまな職業を経験。6年前から原発の電気設備会社の従業員として働いていた。
 「線量も確認せず、たまり水に触れてはならない」。常識のはずが、同僚作業員は水深15センチほどの水に足をつけて作業していた。くるぶしまでつかった水は「生温かかった」という。
 階段を地下まで降りて、ケーブルを手すりに縛り付けるよう指示されたが、断った。それでも小一時間の作業で、線量計の値は11ミリシーベルト。たまり水に入った関電工の社員2人は173~180ミリシーベルトを浴びて、福島市の県立医大に緊急搬送された。
 その後、広野火力発電所や新潟県の柏崎刈羽原発、青森県六ケ所村の施設など、被曝量の低い仕事にまわされた。だが、今年3月16日以降、仕事が来なくなった。事実上の解雇状態だ。今は土木作業や除染作業で妻子を養う。
 「被曝事故は起きたのではなく、起こされた。我々は高線量を浴びさせられて使い捨てか」。そう悔しがる。
 原発収束作業にたずさわる末端作業員の立場は不安定だ。被曝線量の上限に達すれば、作業員として働くことができなくなる。
 「あのときは長靴も履いていなかった。指示に従って地下に降り、そのまま作業を続けていたら死んでいたかもしれない。これから何年後かに自分の健康がどうなるかも分からない」。あの体験で生じた不安はいまも消えない。

●背景に下請け多重構造
 作業員の告発に、東電は「現場作業者の作業環境と放射線の安全管理については引き続き徹底していきたい」とコメントした。
 しかし、原発作業員の被曝線量のずさんな管理や被曝事故時の無責任な体制などが、次々と明るみに出ているのはなぜか。
 背景にあるのは複雑な下請け関係だ。今回の事故では現場にいた東電の作業チームは毎時400ミリシーベルトの放射線量を知ってすぐに撤収。一方、作業員のチームはそのまま作業を継続していた。
 下請けの多重構造が、末端作業員の労働安全や健康管理の責任をあいまいにしている――。日本労働弁護団の水口洋介弁護士らはそう指摘する。
 労働安全衛生法31条は、直接の雇用関係がなくても、特定事業で発注者が労働者の災害防止措置をとるよう義務づける。ただ、法令の指定は建設業や造船業などに限られ、原発事業の位置づけは明確ではない。これが「責任追及の壁」になっているとし、弁護団は法の不備の是正も求める。
 「私はたまたま、いろんな人の助けがあって訴えることができたけれど、ほとんどの労働者は職を失うから口を閉ざすしかない」。作業員はそう語った。
 今後は事故収束だけでなく廃炉作業でも、高線量下で働く原発作業員の力が必要だ。それも廃炉まで何十年と続く。「こんなことをやっていたら、作業に従事する人が本当に集まらなくなる」。予期せぬ被曝をさせられてしまった作業員の警告だ。(本田雅和)

—-転載ここまで—————–

■元記事
告発の原発作業員、朝日新聞に語る 2012年11月03日

 

2012/08/29

政府の節電要請から8月26日までの8週間における館sない電力管内の電力需給実績がまとまった。
東京新聞によると、最大需要は大阪市の日中最高気温が三六・七度に達した三日午後二時台の二千六百八十一万キロワット。記録的猛暑だった二〇一〇年夏並みの暑さを想定した八月の需要予測(二千九百八十七万キロワット)を10%下回ったということである。

関西電力は夏場の電力不足を理由に大飯原発3号機と4号機を再稼働させたが、関電広報室の担当者は東京新聞の取材に対し「節電効果があり、現時点では原発がなくても供給力は維持できた」と話したという。

つまり、大飯原発を再稼働しなくても電力は足りたのである。

東京新聞の記事では、再稼働の根拠が崩れたことを指摘している。

→ 節電8週間 関電「原発なしでも余力」 / 東京新聞

 

2012 / 08 / 29

毎日新聞の記事によると、原発20+件周辺にある複数の活断層が連動して動いた場合に揺れが従来想定を超える四国電力伊方(愛媛県)、北陸電力志賀(石川)の2原発20+件について、両電力は28日、原子炉など重要施設の耐震安全性に問題はないと経済産業省原子力安全・保安院の専門家会合に報告した。会合で異論は出ず、保安院は近く了承する方針だということである。

会合では、他に中国電力島根(島根県)、北海道電力泊(北海道)についても、両電力が「問題ない」と報告。保安院が妥当性を検討するとしている。

他に、東電管轄の柏崎刈羽原発(新潟県)についても東電が影響を評価中とある。
前の記事に書いた活断層上でも原発を運転できるようにする新安全評価基準の件といい、政府はどんな手を使っても原発を推進していく姿勢だと言える。

国民の9割が原発ゼロを願う中、日本のエネルギー政策は一体どうなるのであろうか。
未来に生きる子孫たちのために、正しい選択をする必用がある。

 

共同通信の記事によると、経済産業省原子力安全・保安院が原発直下に地盤をずらす「断層」があっても原発の運転を一律に禁止せず、継続の可能性を残す新たな安全評価基準の導入を検討しているらしい。

保安院は従来「活断層の真上に原子炉を建ててはならない」との見解を示していたのだが、現在稼働している大飯原発の直下にも活断層がある可能性を指摘され、再調査の必要性を迫られていたところである。

この活断層上でも原発の運転が可能になる新安全評価基準が施行されると、浜岡など他に活断層の可能性を指摘されている原発も容易に再稼働できるようになってしまう。

→ 原発、断層ずれても運転可能に 保安院が新基準導入へ / 47NEWS
→ 

 

福島第一原発事故により、国民は原発に対して大きな関心を寄せるようになった。
首相官邸前には原発再稼働に反対する国民が10万人以上集まり、経産省前には原発反対のためにテントが張られ、首都圏以外の日本各地で脱原発のデモや抗議が繰り広げられている。

全国各地で原発抗議 官邸前「15万人」で騒然 / 朝日新聞
→ 「首相官邸前抗議行動」 完全中継プロジェクト / IWJ
→ 
→ 日本全国デモ情報

そんな中、日本政府が新たなエネルギー政策の策定に向けて実施したパブリックコメント(意見公募)の意見の約9割が原発ゼロを指示しているとの分析結果が明らかになった。

→ 「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する御意見の募集(パブリックコメント)について
→ 
→ パブコメ全集計、原発不安が過半数 「原発ゼロ」87% / 朝日新聞

つまり、国民のほとんどが原子力発電からの脱却を望んでいるという結果である。
しかし、フジニュースネットワークが伝えたところによると、政府はパブリックコメントで意見を集めた3つの選択肢(原発ゼロ、原発15%、原発20~25%)のいずれの選択肢も採用しない、新たな案を検討していることが明らかなになった。

→ エネルギー政策3選択肢 「エネルギーごとに目標設定」の新案検討 / FNN

それでは、パブリックコメントを集めたのは一体何だったのだろうか?

さらに、日本政府は原発直下に活断層があっても原発の運転を一律に禁止せず、継続の可能性を遺す新たな安全評価基準の導入を、経済産業省原子力安全・保安院が検討している。

→ 原発、断層ずれても運転可能に 保安院が新基準導入へ / 47NEWS

現在、日本で発電稼働している原発は福井県大飯郡おおい町にある大飯原発の3号機と4号機の2機だけである。
夏の電力ピークをこの2機だけで乗り切ってしまった事実がある中、日本政府は原発を推進していく姿勢をアピールしていると筆者は考えている。

 

首都圏反原発連合の主催により、毎週金曜日の18:00から首相官邸前で行われている再稼働反対の抗議行動。 マスコミのウソの報道や、大飯原発3号機の強引な再稼働などが引き金となり、今では5万人~10万人を超える人が集まるようになっている。

 

この現実を受け、社民党の阿部知子政審会長は7月12日の衆院予算委員会で、野田佳彦首相に対し、「エネルギー政策について国民的な論議をするなら、首相官邸から出てきて、話したらどうか」と、再稼働に反対する市民との直接対話を呼び掛けた。

これに対し野田首相は「官邸周辺のデモはこのテーマ以外にもよくある。私が出て行って会った前例はない」と返した。

国会や官邸前に何度も足を運んだ人なら解るとおもうが、確かにデモは行われている、ただし参加者は1名~10人程度、多くても100人に満たない。 数万人の国民が集まり、多くのメディアが注目して報道する今回の反原発抗議と同等に扱ってコメントには明らかな故意がある。

数万人の声を無かったものとし、よくある抗議の一環と公けの場で発言する男に果たして一国の総理大臣の資格があるのだろうか。

我々日本人はこの事を、今しっかりと考えなければならないと、私は強く思っている。

 

→ 元記事 / デモの市民と対話を=社民・阿部氏提案、野田首相は拒否(時事ドットコム)

 

 

日経ビジネスが、日本政府の大飯原発再稼働を世界のメディアがどう報道したのかを記事にしているので抜粋して紹介したいと思う。

 

欧州の反応

欧州メディアが批判した対象は大きく分けて3つある。1つは日本政府が反対運動を無視して、再稼働を決定・起動したことだ。

ドイツの日刊紙ヴェルト(Welt)は7月1日、次のように伝えた。「日本では大規模なデモや抗議行動は稀有だが、毎週金曜日、官邸前に数千人の市民が集まって抗議行動をしている。体制側メディアは長い間、こうした運動を無視してきた。しかし、ツイッターなどの新メディアを介して全国で参加者が急増。無視できなくなっている。ノーベル賞受賞者の大江健三郎や、映画『ラストエンペラー』の音楽を作曲した坂本龍一も運動に加わった」。

フランスの週刊誌ル・ポワン(Le Point、オンライン)は枝野幸男経産相の「決定するのが政治家の責務」との発言を受けて、それはつまり「専門家による警告や、与党議員の3分の1もの反対を押し切って決めることを指すのか」と問うた。

フランスの中道右派の新聞、ル・フィガロ(オンライン)は、専門家の知見と民意に反する尚早で危険な決定――この決定は首相と、大飯原発に関係する地方自治体の政治家、経産省下の原子力安全保安院だけで決めた、と断じた。

もう1つの批判の対象は、安全対策が十分ではない点だ。

南ドイツ新聞は「大飯原発の標高は福島原発より数メートル高いが、津波の防護壁はない。付近では1026年に巨大津波が記録されている」と伝えた。

フランスの週刊誌ル・ポワン(Le Point、オンライン)は6月18日、次のように解説した。「日本政府は『新しい安全対策は3年以内に講じる予定』として、安全確保なしで見切り発車した」。

3つ目のポイントは政府や関連する地方自治体が電力業界の圧力に屈したことだ。

ドイツの経済紙 ハンデルスブラット(Handelsblatt)や週刊誌フォークスは、「大阪市は、電力業界や政府から経済への悪影響を警告され、抵抗をあきらめざるをえなかった」と伝えた。前出のル・フィガロは6月16日、「日本政府は『夏のピーク需要に対応するため原子力発電所が必要』と説明するが、本音は日本の経済を守るため」と述べた。

一風、変わったところでは、ドイツの週刊誌シュテァン(Stern)がある。同誌は再生可能エネルギー開発が急速に進み、供給の一端を担いつつあることを示唆した。「再生可能エネルギー特別措置法』が施行された1日に、京都ほか複数の自治体でメガソーラーが運転を開始し、年内に2500メガワット――中規模の原発2基分――の供給を計画していることを報じた。

 

米国

7月1日のウォールストリートジャーナルは、日本の原発再稼働とそれに伴うデモの様子を詳報した――「電力不足と市民の抗議の間に揺れるノダの決断」に対し、推定10万人が反対デモに参加した。ワシントンポストは、時を同じくして国会の事故調査委員会が発表した報告書と絡め、「『人災』という批判の中での再稼働」と報道した。リベラルな論調で知られるニューヨークタイムズは、グリーンピース・ジャパンの佐藤潤一事務局長の「民意を無視した準備不足の再開」というコメントを紹介した。

興味を引いたのはワシントンポストが7月5日に掲載した論説だ。同紙は事故調査委員会の報告書を検討し、「フクシマの事故の原因はヒューマンエラーだったことが明らかになった」とし、『原発そのものが危険』と結論付けるべきではない、と指摘した。同紙は温暖化問題を重視し、どちらかと言えば原発肯定の立場をとっている。さらに日本政府と東電の馴れ合い体質を取り上げた。「原発は、政府と企業が一体となって厳格な枠組みを作り、運営することが必要だ。そのために公共への情報開示が必須となる。だが、日本はどちらも怠ってきた」と批判した。「我々はスリーマイルやチェルノブイリから学んだ。だが、残念なことに日本はそうではなかった」と断罪した。

米国では反原発の動きは目立たない。福島原発の事故後にも、大規模な反原発運動は起こらなかった。スリーマイル島事故を経験していることを考えると意外なことだ。CNNはその要因の一つとして、「米国の関係機関はメリットもリスクも含めて、あらゆる情報を国民に開示している。市民の多くが高い原子力リテラシーを持っている」点を挙げた。

最後に、中国とドイツの市民がSNSに書き込んだコメントを紹介する。「小さな島国で、しかも頻繁に地震があるのに、なぜこんなに多くの原発を建設したのか?」(微博)、「日本政府は新しい法律を作ったらしい。地震と津波を禁止すると」(シュピーゲル)。

 

 

 

 

 

欧州などからの批判を受けながら、なし崩しに原発の再稼働を進める日本政府だが、現職の経済産業大臣である枝野幸男が7月11日に行われた講演で

「原発はコストが安いと扱われてきたが、東京電力福島第一原発事故で見られるような廃炉や賠償、除染も考えると全く割に合わない」

と発言した。

「私は原発がない方が良いと思うし、一日も早くなくすべきだと思う」

とも発言し脱原発派であること強調したと、東京新聞が伝えている。

→ 元記事 / 枝野氏「原発割に合わない」 「東電の廃炉費用など沖縄電以外で負担を」

 

6月17日付けの日本経済新聞が報じたところによると、経産省保安院は北電泊原発(北海道)、九電川内原発(鹿児島県)、北陸電志賀原発(石川県)でストレステスト(耐性調査)結果の審査を8月までに終える方針を固めたという。すでに審査済みの四電伊方原発(愛媛県)とともに、大飯の次の再稼働計画が具体的に動き出す。

この中で、川内原発がある鹿児島県では折しも7月8日に県知事選が行われる。
しかも再稼働「容認」の現職に「拒否」の新人が挑むという原発再稼働の是非を巡る一騎打ちだ。
これはある意味で、大阪や東京では実現しそうもない原発住民投票の実現化ともいえる。

住民が選挙で原発再稼働の可否を選ぶという、初めての機会になる。
こんなチャンスは願ってもないことだ。

前回の鹿児島県知事選の投票率は40%ほどしかない。眠っている60%の有権者が投票行動を起こせば、原発を止める知事の誕生は夢ではない!。

これからは選挙で原発を止めよう!
日本中から鹿児島県知事選を盛り上げるムーブメントを起こそう!

関連記事:
泊・川内・志賀3原発、再稼働候補に 伊方に追加 保安院、8月までに審査 2012.6.17 日経新聞
再稼働「容認」対「拒否」 鹿児島知事選、一騎打ちへ 2012.6.9 産経新聞

 

東京新聞 2012年6月9日

【社説】「大飯」再稼働会見 国民を守るつもりなら

国民の生活を守るため、野田佳彦首相は関西電力大飯原発3、4号機を再稼働させるというのだろうか。国民は知っている。その手順が間違っていることを。このままでは安心などできないことを。
これは原発再稼働への手続きではなく、儀式である。

西川一誠福井県知事の強い要請を受け、従来の発言をなぞっただけ、西川知事にボールを投げ返しただけではないか。誰のための記者会見だったのか。いくら「国民の生活を守るために」と繰り返しても、国民は見抜いている。そして儀式には、もううんざりだ。

国民は、首相の言葉をどのように受け止めたのだろうか。

「スケジュールありき、ではない」と首相は言う。しかし、長期停止した原発のフル稼働には六週間ほどかかる。そのような再起動の手順を踏まえた上で、小中学校が夏休みに入り、電力需要が本格的に高まる前に原発を動かしたいという、“逆算ありき”の姿勢は変わっていない。

経済への影響、エネルギー安保など、原発の必要性は、執拗(しつよう)に強調された。だが国民が何より求める安全性については、依然置き去りにしたままだ。

「実質的に安全は確保されている。しかし、政府の安全判断の基準は暫定的なもの」という矛盾した言葉の中に、自信のなさが透けて見えるようではないか。

会見で新たな安全対策が示されたわけでもない。緊急時の指揮所となる免震施設の建設や、放射能除去フィルターの設置など、時間と費用のかかる対策は先送りにされたままである。これでどうして炉心損傷を起こさないと言い切れるのか。どんな責任がとれるのか。首相の言葉が軽すぎる。

未来のエネルギーをどうするか。脱原発依存の道筋をどのように描いていくか。次代を担う子どもたちのために、国民が今、首相の口から最も聞きたいことである。それについても、八月に決めると先送りしただけだ。

「関西を支えてきたのが福井県であり、おおい町だ」と首相は言った。言われるまでもなく電力の消費者には、立地地域の長い苦渋の歴史を踏まえ、感謝し、その重荷を下ろしてもらうためにも、節電に挑む用意がある。ともに新たなエネルギー社会をつくる覚悟を育てている。そんな国民を惑わせ、隔ててしまうのは、その場しのぎの首相の言葉、先送りの姿勢にほかならない。

 

この記事は 東京新聞 【社説】 2012年6月9日

 

先日お伝えした関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の敷地の地下にある断層が活動する可能性を専門家が指摘したとう報道。
これを受け経済産業省原子力安全・保安院がとんでもないことを言っている。

断層の活動の可能性を指摘したのは東洋大学や名古屋大学の専門家だが、まったく地形学の知識のない経済産業省原子力安全・保安院が「断層の上にある地層は変形しておらず、活動性はない」と否定したのである。

森山善範原子力災害対策監

森山善範原子力災害対策監


6月8日の記者会見でこのとんでもない発言をしたのは右の写真の森山善範・原子力災害対策監である。

→ 大飯原発地下の断層、保安院が活動の可能性否定 / 読売新聞

 

茨城県東海村の村上達也村長は2日、福井県で行った講演の中で、大飯原発の再稼動を急ぐ政府に対し、
「原子力政策、規制の体制が曖昧なまま、暫定の安全基準はその場しのぎと言わざるを得ない。戦略的思考を持っておらず、原発を持つ資格はない」と批判した。

もと記事は 東京新聞 6月3日

 

Bad Behavior has blocked 34383 access attempts in the last 7 days.