毎日新聞 2011.10.12
◇「一定の理解得られた」
東海村の村上達也村長は11日、都内で細野豪志原発事故担当相、中川正春文部科学相と相次いで面談し、村内に立地する東海第2原発の廃炉を強く求めた。村上村長は既に、記者会見などで「脱原発」の姿勢を強調してきたが、同原発の廃炉に直接言及したのは今回が初めて。国内全原発の運転・管理を日本原子力発電に集約させることも提案するなど、今回の面談では一歩踏み込んだ形で、村が掲げる「脱原発」の方向性を明らかにした。【大久保陽一】
面談は非公開で15分間程度行われ、地元選出の高野守衆院議員(民主党)と前田豊・村理事も同席した。村上村長は自身の考えを記した書面を両大臣に提出。書面によると、東海第2原発が、東京都心から約110キロの距離にあり、原発の半径30キロ圏内も100万人規模の人口密集地帯であることなどを指摘したうえで「避難計画の策定が困難で廃炉にすべきだ」と求めた。
また、東京電力福島第1原発事故後の対応について、原子力安全保安院と原子力安全委員会は「信用失墜が甚だしい」として、国が新たな原子力規制機関を早期に整備するよう要求。機関の名称も「安全」ではなく「規制」の文言を入れるべきだと求め、その上で「新たな規制体制の確立なしに、停止した原発の再稼働は受け入れられない」と強調した。
一方、現行の国内9電力会社による地域独占体制の解体と発送電分離は不可欠と指摘。日本原子力発電を準国策会社とし、国内全ての原発の運転・管理を行うことを提案した。
村上村長によると、細野氏との面談は「時間が短く具体的な話はなかった。(東海第2原発の廃炉についての)回答もなかった」という。だが、面談の最後に「貴重な提言を頂いた」と返答があったことから、「(我々の意見を)聞き届けてもらえたのでは」との期待感を示した。
中川文科相との面談では、村内に立地する原子力研究施設との共存を目指したまちづくりを展開する「原子力センター構想案」への支援も求めた。面談後、村上村長は「大臣自ら原子力機構の体制強化や減原発について説明してくれた。一定の理解は得られたのでは」と感想を述べた。
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朝日新聞 2011年10月13日
東海第二原発 定検、来年8月終了
日本原子力発電は12日、東海村の東海第二原子力発電所の定期検査の終了時期が来年8月上旬になる、と発表した。当初予定の今年11月中旬より約9カ月遅れになる。定期検査終了後に運転を再開する場合、地元自治体の同意が必要となることは必至な情勢の下、廃炉を求める村上達也・東海村長の意向も相まって、先行きはいぜん不透明だ。
東海第二原発は東日本大震災による揺れで自動停止したまま、5月から定期検査に入った。その後、重要な機器の一つである蒸気タービンの羽根に、地震の揺れで擦れてできたと見られる傷や、軸受けの土台の部分に固定ボルトの緩みなどが見つかった。修理や点検に時間がかかるとして、日本原電は定期検査の期間延長を決めていた。
日本原電は12日、原子炉の圧力が異常に高くなった際に蒸気を圧力抑制室に逃す弁の部品の一部が折れていたことや、原子炉内に出し入れして炉の出力を調整する制御棒185本のうち8本で、棒のハンドル部分にひびが見つかったことも新たに発表した。
朝日新聞
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