内部被曝は未知の領域、シーベルトには換算できない。 野生化牛でやっと少しづつ明らかになり始めた放射性物質の蓄積部位 筋肉は血液の20~30倍、胎児は親の1.3倍、猛毒のテルルは腎臓に・・・
1月 15th, 2012 | Posted by in 1 体への影響と防御いつも不思議で仕方がないことがあります。
内部被曝の量を安易にシーベルトで表すが、あれって信頼できる数値なのでしょうか?
考えてみたいと思います。
東京電力福島第1原発から半径20キロの警戒区域内で野生化した牛の筋肉や内臓などの調査で、
セシウムなど放射性物質が、どの部位に蓄積するのかといった体内での振舞いが少しずつ明らかになってきています。
逆を言えば、これらの基本的なことがこれまでまったくわかっていなかった実情があります。
チェルノブイリでは政府に禁じられたため、バンダジェフスキーの論文などごく少ない例外を除きこのような研究はされていません。
チェルノブイリ周辺でおびただしく増えている様々な疾患からその影響は明らかですが、セシウムなどがどこに蓄積しやすいかなどの統計的なデーターが存在しないため、学術的には因果関係を断言できないというもどかしい現状があります。
その現状をよいことに、あたかも内部被曝は危険ではないというような喧伝がまかり通っているのは大変困ったことですが、もうひとつ、とても重要なポイントがあります。
それは、こんな基本的なデーターもなしに、内部被曝量をシーベルトで表すなど不可能ということ。
たとえば食品の「新基準づくりに当たり、食品から受ける年間許容被ばく線量を現行の5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに下げた。」というように、内部被曝の体への影響量はシーベルトで評価されます。
何ベクレルの食品を食べたら、内部被爆量は何シーベルトですって言う換算式があって(等価線量換算係数といいます)それを基に、年何ミリにおさえるには食品は100ベクレルとかやっているわけですが、実はこれはまったくの虚構の数値です。
なぜ専門家がこのことをはっきり言わないのかいつも不思議なのですが、すごく単純に言うと、体のどこに蓄積するのかもわかっていないのに、その影響を正確に表すことはできない。ましてや数値化する換算式などできないというのは、少し考えればわかることです。
放射性物質の体内での振舞いはやっとわかり始めたばかりです。
現在の知識量では、内部被曝を計るとき、ベクレルをシーベルトに換算することはできません。
それだけのデーターを私たちはまだ持っていないのです。
内部被曝量について、シーベルトで表してあるものはすべて虚構の数値と思って間違いありません。
専門家に、このことの裏付けをやっていただきたいと希望します。
nanohana記
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警戒区域の野生化牛 筋肉被ばく、血液の20~30倍
河北新報 2012.1.15
東京電力福島第1原発から半径20キロの警戒区域内で野生化した牛の筋肉に蓄積された放射性セシウムの濃度は、血液中の20~30倍に上ることが、東北大加齢医学研究所の福本学教授(病理学)らのグループの調査で分かった。大学は2012年度、調査牛の臓器や血液などを冷凍保存した「組織バンク」を整備。グループは今後、どの臓器に放射性物質がどれだけ蓄積するのか詳しく解析し、人体の内部被ばくの研究に応用していく。
調査は昨年8月下旬に着手。これまでに殺処分された88頭の牛を所有者の同意を得て解剖し、内臓や筋肉、血液に含まれる放射性物質を調べた。
その結果、血液から1キロ当たり60ベクレルが検出された牛のモモから1800ベクレルが測定されるなど、骨格筋に20~30倍の濃度で放射性セシウムが蓄積していることが確認された。舌や肝臓などの臓器は血液濃度の約10倍だった。蓄積が心配されていた甲状腺ではほとんど測定されなかった。
また、ガンマ線を放出する「放射性銀」は肝臓に、化学毒性が強い「放射性テルル」は腎臓に、それぞれたまっていた。牛の胎児の各臓器に蓄積した放射性セシウムの濃度が、親牛より1.3倍ほど高いことも分かった。
こうした臓器などを多くの研究者に活用してもらおうと、加齢医学研究所内に組織バンクが新設される。12の臓器などを冷凍保管する。精子と卵子も凍結保存し、人工授精して生まれた子牛の遺伝子に影響があるかどうかも検証することにしている。
研究グループは昨年6月発足。現在は東北大のほか、山形大、新潟大、宮城大、日本遺伝子研究所などで構成する。
研究成果は、同じように筋肉や臓器を持つ人体の内部被ばくを考える上で役立つという。福本教授は「内部被ばくの多角的な評価はこれまでなく、事故から学ぶことが大切。3月までに300頭を目標に調査を続け、12年度以降に多くの研究者に材料を活用してもらえるよう体制を整えたい」と話している。
2012年01月15日日曜日
この記事は 河北新報
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