ブルームバーグ 2011.12.19
12月19日(ブルームバーグ):韓国の聯合ニュースは19日、北朝鮮の独裁者、金正日総書記が死去したと報じた。70歳だった。国民が飢餓に苦しむなか核開発を推し進め、国際的非難に反抗し続けた。
聯合ニュースが同日正午の北朝鮮国営ラジオの報道を引用して伝えた。朝鮮中央通信によると、金総書記は現地時間17日午前8時30分に視察中の列車内 で死去した。総書記は2008年8月に脳卒中に見舞われた可能性があり、膵臓(すいぞう)がんにかかっているもようだと韓国のメディアは伝えていた。
北朝鮮を建国した故金日成国 家主席の息子に生まれた金正日総書記はヘビースモーカーの孤独な権力者であり、17年間続いた現体制を維持するため国の開放を拒んだ。三男正恩氏への権力 継承を固める過程で総書記が死去したことにより、北朝鮮と韓国、米国の軍隊計170万人がにらみ合う朝鮮半島は一触即発の状態となった。
かつて総書記の伝記を著したソウル在住の作家、マイケル・ブリーン氏は、金総書記が「虚勢を張って心理戦で強者を揺さぶる父親譲りの天才的な才能を持ち、父親と同じく追随を廃し独自の外交を展開した」とした上で、「われわれは、北朝鮮関係が不安定化する時期を迎えた」と述べた。
外国の漫画家や映画制作者らから髪型や服装などを風刺されることが多かった総書記は、共産圏外の首脳との数少ない交渉の機会には真価を発揮した。
「対立がなければ武器の重要性失う」
2000年の平壌でのオルブライト米国務長官(当時)との会談で金総書記は、「対立がなければ、武器の重要性は失われる」と語った。この発言は、09年に国連安全保障理事会が採択した北朝鮮の核実験などへの制裁決議に金総書記が反発したことを考慮すれば、重要な意味を持ってくる。
その翌年、北朝鮮は武力挑発を行い、米韓両国から強い警告を受けることとなった。46人が死亡した10年3月の韓国哨戒艦沈没事件について韓国軍・民間合同調査団がまとめた国際合同調査団報告書は、北朝鮮の関与を指摘した。
その8カ月後、北朝鮮は韓国・延坪島を砲撃。韓国軍兵士2人と民間人2人が死亡した。これに先立ち米科学者が、北朝鮮はウラン濃縮プログラムで「驚くべき」進歩を遂げたと報告していた。
記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 城塚 愛也 Aiya Shirotsuka Editor:Yoshito Okubo、Masami Kakuta
You can follow any responses to this entry through the You can leave a response, or trackback.