田中龍作ジャーナル 2011.12.10
政治家が動かないのなら自分たちの手で。市民グループが「原発稼働の是非を住民投票で決めるための条例の制定を求める」署名活動を東京都と大阪市できょう(10日)から始めた。
署名活動を始めたのは「みんなで決めよう『原発』国民投票」。有権者の50分の1の署名が集まれば、自治体の長は20日以内に議会を招集し審議しなければならない(地方自治法第74条=条例制定の請求)。署名期間は2月9日まで。
東京都の場合、署名が約21万4,200人を超えれば石原慎太郎知事は、都議会に「原発稼働の是非を住民投票で決めるための条例の制定」について議会に付さなければならない。
渋谷駅ハチ公前広場では、市民グループのメンバーが中心になって署名を呼びかけた。ツイッターなどですでに知っていたという有権者が多く、名前、住所を書き拇印を押した。通りがかりに「原発住民投票」を知り署名する有権者も少なくなかった。
品川区の主婦(50代)は「核廃棄物の処分場がないのにもかかわらず、原発を稼働させることは見切り発車も甚だしい。科学に対する驕りだ。国民は声をあげるべき」と話す。
2人の子(2歳、8歳)を持つ母親は、署名する腕に力が込められていたようだ。「原発は恐いもの。(被害や恐怖は)この先も終わりはない。(稼働の是非は)もともと自分たちで決めなければならない問題だった。政治家も国民も意識を変えてほしい」。この後、彼女は署名を集める受任者となる手続きをした。
仮に署名が法定数に達し、石原知事が議会に付したとしても、住民投票が実現する見込みは少ない。都議会の構成(定数)は民主党が50議席、自民党が38議席と原発推進勢力が圧倒的多数を占めているからだ。
「都議会で原発推進という結論になったとしても議論が深まっただけでいい。一番大事なことは自分たちで決めようと行動したこと」――請求代表人の小林聖太郎さん(映画監督)は署名の意義を語った。
30~40年もの間、国民の頭に刷り込まれてきた「原発安全神話」は、東電福島第一原発の爆発、放射能漏れ事故によって崩壊した。間接民主主義の負の側面である「お任せ民主主義」の危うさを、国民は痛いほど知ったのである。
議会が国会、地方とも「原発漬け」「電力業界漬け」のなか、直接民主主義がどこまで有効に機能するか。「原発稼働の是非を問う住民投票条例の制定を求める」署名活動に注目、期待したい。
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