日経新聞 2011.12.6
町民に機器を貸し出し、放射線量の数値を確認してもらう(真鶴町)
神奈川県内で自治体が放射能測定装置を住民へ貸し出す動きが相次いでいる。藤沢市や茅ケ崎市が新たに機器を購入した。東京電力福島第1原子力発電所の事故から半年以上が経過、各自治体は定期的に放射線量を測定しているが、住民の不安は根強い。住民自らが数値を確認できる体制を整え、不安の解消を進める。
藤沢市は12日に放射線測定器の貸し出しを始める。200万円強かけて26台を購入。市内13地区の市民センターや公民館に2台ずつ配置する。市内在住または通勤・通学している20歳以上の人を対象に貸し出す。除染の必要のある放射線量を検知した場合の対応を示したパンフレットも作製する。
茅ケ崎市は175万円かけて簡易測定器を15台購入した。1月中旬から市庁舎を窓口に貸し出しを始める。高い放射線量の場所が見つかった場合、市は除染方法などを指導する。真鶴町は9月半ばに放射線測定器を町民に貸し出す事業を始めた。11月までに24人に貸し出した。
自治体が住民への貸し出しに動く背景には、子どもを持つ地域住民らの放射線に対する不安を解消する狙いがある。茅ケ崎市の服部信明市長は「不安を感じている市民の方々が自ら機器を使って放射線量を確認することで安心してもらいたい」と話す。
各自治体は公園や公共施設の検査を進めているが、民間の土地や建物を自治体自ら調査する権限は持っていない。市民への機器貸し出しを通じて「市が調査できない場所の数値を把握する」(藤沢市)狙いもある。
ただ人口の多い自治体は市民への直接貸し出しは難しい。
人口約370万人の横浜市は2012年1月から、市立小中高と特別支援学校の全512校に放射線測定器の設置を始める。3月までに配置を終える予定だ。
教師が保護者と協力し、校内や周辺道路などを測定。学校近隣の保育所にも測定器を貸し出す。「子供がいる地元住民の不安解消につなげる」(市教育委員会)考えだ。
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