2011.12.6
【パリ宮川裕章】フランス中部ノージャンシュルセーヌの原子力発電所敷地内に5日午前6時(日本時間午後2時)ごろ、環境保護団体グリーンピースのメンバー9人が侵入、駆けつけた憲兵隊に拘束された。警察当局によると、仏南部の2原発でも別のメンバーが侵入しようとした形跡が見つかった。グリーンピースは「フランスの原発の警備がいかに脆弱(ぜいじゃく)かを示すことができた」との声明を発表した。
仏メディアやグリーンピースによると、9人は発電所内の2基ある原子炉のうち1基の外壁を登り、「安全な原子力は存在しない」との横断幕を掲げた。グリーンピースの原子力関係の担当者はAFP通信に「メンバーは有刺鉄線など四つの防御線を誰にも会うことなく突破した。原子炉の中枢や核燃料がある場所まで約15分で到達した」と話した。
これに対し、原子力発電所を運営するフランス電力公社は「監視システムで侵入を把握、追尾をしていたが、実力行使しなかった」との説明文を発表。「今回の侵入は施設、職員の安全に何の影響も及ぼさなかった」と強調した。
仏政府は3月の東京電力福島第1原発事故後、国内の原子力施設の安全性の再確認を進めたが、グリーンピースは「安全対策が自然災害や航空機の衝突、サイバーテロなどに偏り、人による侵入への対策が不十分だ」と指摘した。
ベッソン・エネルギー担当相は5日、仏公共ラジオで「侵入が事実ならば(警備の)機能不全で、再発防止策を講じなければならない」と述べた。
ノージャンシュルセーヌはパリ南東約100キロ。
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