日刊ゲンダイ 2011.11.30
いくら出荷停止にしてもムダだ
◆産地偽装の悪徳手口
原発被害に苦しむ福島県で、コメから国の暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが立て続けに検出され始めた。
福島市に続いて、きのう(29日)は伊達市でも今年収穫されたコメが出荷停止となり、地元農家からは「やっぱり……」と、あきらめに似たタメ息が漏れている。
しかし、出荷停止によって汚染米がシャットアウトされるのかというと、全然違う。28日には、仙台の米卸業者が福島県産コシヒカリを宮城県産と偽り販売していたことが発覚した。原発事故後、コメの産地偽装は以前にも増して日常茶飯事になりつつある。
「コメほど汚い世界はない」などの著書がある福島在住のジャーナリスト、吾妻博勝氏が言う。「先週、私が福島県内のとある米卸業者を訪ねると、その業者は倉庫から次々とコメを出し、大型コンテナ車に積んでいました。関西に向かうというのですが、ふつうは常磐道から東名高速に入るところを、新潟経由で行くと言っていた。実はこれ、新潟など別の産地に偽装するためです。福島県産のまま関西の業者に卸しても、デパートやスーパーが買ってくれないため、別の産地の袋に詰め替えるわけです。こうした偽装米は、首都圏や近畿地方、沖縄などに運ばれて、当たり前のように消費されています」
福島県内では、県外の10年産米のコメ袋が写真のように山積みで売られていて、これも偽装に使われているという。
「悪徳業者はこれまで新米に古米を混ぜていたが、今は古米にどれだけ新米を混ぜるかを考えている。こんな事態になったのは、県が57カ所しか土壌のモニタリング調査をせずに、米作りにゴーサインを出したからです。その後の予備検査、本検査も県だけがやって、中立機関のチェックがなかった。案の定、汚染米が出てきて、不正に走る農家や業者が出てきたのです」(吾妻博勝氏)
もう何を信じたらいいのかわからない。
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