子どもたちが給食を食べて内部被曝することを容認する文科省は存在価値がない
12月 3rd, 2011 | Posted by in 1 子供たちを守ろう | 1 放射能汚染 | 1 汚染の拡散 | 1 測定 | 1 給食 | 3 利権・推進派・御用学者 | 3 官僚 | 3 政府の方針と対応 | 3 隠蔽・情報操作と圧力2011.12.3
文部科学省が12月1日までに、学校給食食材の放射性物質の測定機器購入費補助の通知で、安全な濃度の目安を「食材1キロ当たり40ベクレル以下」と示しました。
文科省は11月30付の17都県の教育委員会への通知で、測定機器を購入する場合、費用の半額まで補助金を出すことを伝えたということでした。そして測定機器を購入する際は少なくとも1キロ当 たり40ベクレルまで検出できる機器を選ぶよう求めています。
さらに、40ベクレルを超える値を検出した品目は、給食に出さないなどの対応も例示していたのです。
私は、この報道を聞いて、基準として適正かどうかはともかく、親御さんたちとしては、1ベクレルでも放射性物質が子ども達の給食に入っていたら嫌だろうなあ、と思っていました。
(冒頭の図といい、WHO=世界保健機構の基準はおろか、チェルノブイリが起こった旧ソ連のベラルーシにもはるかに劣る日本の基準とはいったいなんなんでしょうか)
ところが、1日経った12月2日の閣議後会見で、「1日40ベクレルは給食の基準ではない」と中川正春文部科学相が言い出しました。
彼によると、学校給食の食材に含まれる放射性物質に絡んで示した「1キログラム当たり40ベクレル以下」との目安について 「測定機器の機種選定の目安で申し上げた。機器の検出限界で話をした40ベクレルが独り歩きしてしまった」と言うのです。
そして、学校給食で使う食材からの内部被ばくを抑える目安として受け止められたことに対し「説明に誤解があった」と釈明し、「最終的には厚生労働省の基準(現行は水や牛乳200ベクレル、野菜や肉500ベクレル冒頭の表参照)に基づいて対応していくことになると思う」と述べました。
小宮山厚労相も同趣旨の発言をしています。
それにしても文科省内部のこの矛盾発言は、まさに朝令暮改です。
この通知について、12月1日の森ゆうこ副文科相が行った定例会見では
「40ベクレルを上回る食品は給食では使わないようにする方針を示したのか」との質問に「そのように考えていただいて結構です」と答えていたのです。
40ベクレルの目安を示したのは、厚労省が内部被ばく線量の上限を現行の年間5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに引き下げる方針で見直していることを踏まえ、200ベクレルの5分の1としたという説明でした。
このように、森副大臣は明らかに給食の目安として1キロ40ベクレルにすると、計算根拠も述べた上で断言しているのであって、これでは大臣と副大臣とで、1日で、言っていることが真逆です。
最初にも述べたように、親の立場にしてみたら、少しでも放射線が検出されたら子どもに食べさせたくないと思うものなのです。 まして、この説明の変更では、森副大臣が言っていた値の5倍の放射線を中川大臣が容認したと見えてしまいます。
そして、今回の通知の中身を見れば、森副大臣の説明の方が合理的で、中川大臣の説明は到底納得できないものです。
この通知には放射線検査機器を購入する際の補助金交付条件などを記しており、別紙の「留意点」では補助対象となる機器の性能を「検出限界を1キロ・グラム当たり40ベクレル以下とすることが可能な機種」と指定しています。
ま た「検査結果への対応」として「例えば、1キロあたり40ベクレルを超える放射性セシウムが検出された際」に考えられる対応として「1品目なら除外」「複 数あり料理として成立しない場合はパン、牛乳のみなどにする」など、どうみても40ベクレルを基準としているとしか受け取れないような記述になっているの ですから。
新しい測定機器を各学校などで購入する補助費の予算は第三次補正予算でついています。
1キロ当たり40ベクレルまで測れる機械を買うのに、給食に使う肉や野菜は500ベクレルでもいいだなんて、これでは、文部科学省は子ども達の健康などまるで関心がなく、単なる予算分捕りや利権のためだけの通知だったといわれても仕方ないでしょう。
東京新聞2011年9月18日給食に「安心格差」より
そもそも、厚労省の基準見直しが来年の4月で、福島原発事故から一年以上かかるというのがおかしいのです。
また、そういう政治のあり方や説明の仕方以前の問題として、
1子どもは放射線感受性が高く、大人よりはるかにガンなどの症状が出やすいので、大人と同じ基準はナンセンスである
2内部被曝は外部被曝より晩発性障害などの点ではるかに恐ろしいことははっきりしているのに、年間5ミリシーベルトの内部被曝という基準はありえない
ということを指摘しなければなりません。
これまで、私は、放射線管理区域が年間5ミリシーベルト以上の区域なのに、20ミリシーベルトを子ども達に受忍させるのは許されないと何度も主張してきました。
しかし、なんと内部被曝だけで5ミリシーベルトだなんて、子どもはもとより、原発作業員でもあり得ないような基準です。こんなの衛生基準でもなんでもありません。
なにしろ、大人の、しかも外部被曝でも、年間5ミリシーベルトの被曝による白血病が労災認定されたことがあるのです。
(上の説明に「ホットスポットを形成」とあるように、セシウムなら骨に、放射性ヨウ素なら甲状腺に放射性物質は集まります。また、「継続した被曝」とあるように放射性物質は身体の内部に取り込むと1日24時間放射線を出し続け、体外に排出されるまで被曝が続きます)
今回のことで分かったのですが、各地の教育委員会は、自分の「基準値」以下の放射性物質しか検出されないと、「不検出」としています。給食だけでなく、あらゆる食品がそうなのでしょうか。
東京新聞12月2日付茨城版 「目安」に戸惑いの声も給食食材の濃度40ベクレル以下通知
給食食材に一キログラム当たり二〇〇ベクレルの独自規制値を設ける水戸市教育委員会の担当者は「通知の四〇ベクレルはあくまで目安。四〇ベクレルを超えた際の対応策も例示があるだけで、拘束力があるようには読み取れない」とあいまいな文面の解釈に苦慮する。 より厳格な数値を求める保護者の声が強いため「四〇ベクレルを採用する流れではある」と説明するが、二〇〇ベクレルと決めた際に農家から反発があったため「周辺自治体の動きも確認しながら十分協議して対応を決めたい」と述べるにとどめた。 一日から消費者庁貸与の検出機器で学校給食の放射性物質検査を始めた取手市は、独自規制値の五〇ベクレルを検出限界値に設定している。 初日に市教委学務給食課が検査した食材はダイコンとキャベツの二品目。いずれも限界値以下の「不検出」だった。通知を受け、四〇ベクレルまで検出できるよう機器を設定し直す方針だ。
(放射線の影響力は距離の自乗に反比例します。つまり、身体の外1メートル=100センチにある放射性物質より、身体の内側の内臓から1センチのところにある放射性物質は100×100=1万倍の威力があります。まして内臓にくっついていてゼロ距離なら・・・)
上記の記事から推察されるのは、文科省に圧力を加えたのは、農家=農林水産省らしいということです。
いずれにしても、中川文科相らのいい加減な発言が野党にもスルーで見過ごされていることで、いかに内部被曝の恐怖が、政治にも、国民にも浸透していないか、痛感させられました。
文科省は子ども達のためにある省庁ではないのか。
中川文部科学大臣の発言は、一川防衛相より以上に問責決議や辞任に値すると私は思います。
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