NHK 2011.11.12
欧州 広範囲で微量放射性物質
ヨーロッパからロシアにかけての広い範囲で、先月から今月にかけて、大気中からごく微量の放射性ヨウ素が観測されたことが分かり、IAEA=国際原子力機関や関係国の当局が原因を調べています。
IAEAは11日、チェコの原子力規制当局が、この数日間にごく微量の放射性物質のヨウ素131を大気中から観測し、ヨーロッパの各地でも同じように放射性ヨウ素が観測されたと発表しました。また、世界各地で核実験を監視しているCTBTO=包括的核実験禁止条約機構もヨウ素131が先月下旬以降、ロシア、スウェーデン、それにオーストリアに設置している観測施設で検出されたことを明らかにしました。このうち、オーストリアでは、現地の当局が先月17日以降、ヨウ素131を観測していて、その値は最大で1ナノシーベルトと、福島第一原子力発電所の事故のあとにオーストリア国内で観測された値の100分の1程度だったということです。放射性ヨウ素は、ハンガリーやドイツなどでも観測されており、ヨーロッパ各地で放射性ヨウ素が観測されたことについて、IAEAは「原発事故が原因である可能性は低い。検出された値は低く、人の健康への影響はない」と話しています。IAEAでは、関係国の当局と連絡を取って監視を続けるとともに、原因について調べています。
放射性物質の「ヨウ素131」は、自然界に本来は存在せず、ウランなどの核分裂によって生成されます。原子力施設で重大な事故が起きた場合、ヨウ素131が外部に漏れ出すことがあります。旧ソビエトで起きたチェルノブイリ原発事故の際には、ヨウ素131が大量に放出され、被ばくした住民に深刻な健康被害をもたらしました。また、福島第一原発の事故でも大量に放出されました。ヨウ素131は、病気の検査や治療など主に医療用にも使われています。ヨウ素131をはじめ、医療や研究目的などで製造される放射性物質については、病院や研究所、企業などに安全に管理する責任がありますが、不適切な管理が報告されるケースも少なくありません。
NHK
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