My News Japan 2011.5.14
都民資産600億円減でも「天下りは社会に有意義」
三宅勝久
福島第一原発から20キロ付近で交通規制をする警察官ら。原発事故により東電の株価は暴落、東京都が保有する4200万株の資産価値も著しく落ちている。 |
史上最悪クラスの原発事故を起こした東京電力。地域独占で徴収する国民の電気料金にたかって甘い汁を吸ったのは経産省の役人だけではない。1951年の 創業以来、同社の役員に天下った官庁出身者は計20人。うち最多は東京都の幹部たちで、石原知事に抜擢された元副知事の青山やすし氏が現職の社外取締役に 天下っているのを筆頭に、計9人にのぼることが分かった。都は東電の大株主で、事故に伴う株暴落により約600億円の資産が減少。それでも都は「会計上損 失はない」「(天下りは)社会のために有意義」などと、まるで他人事のごとき無責任ぶりだ。
【Digest】
◇東京都→東電取締役はダントツの9人
◇都見解「天下りは『社会』に有意義」って?
◇ 「石原知事はお金にきれい」? ヨイショ上手の青山氏
◇偉大なる?「開拓者」は首切り隊長の山下氏
◇ 先輩から後輩へ、大切に受け継がれる天下り文化
◇青山取締役から都民へ、メッセージは「自粛」?
◇東京都→東電取締役はダントツの9人
原発を持つ電力9社に経済産業省の官僚が天下っている問題はmynewsjapan記事「経産省官僚10人が電力会社天下り 官業癒着で機能しない監視体制」でも報じたとおりだ。その後、5月2日になって経済産業省は電力会社への天下り状況を発表した()。しかし発表は同省出身者についてのみで、ほかの役所については依然発表はない。そこで引き続き調べることにした。
さしあたり東京電力について、1951年の創業以来、官庁出身者の役員がどれだけいるのか、国会図書館でマイクロフィルム化されている過去の有価証券報告書をもとに調査した。その結果が以下の各表である。
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このほか東電代表取締役会長を務めた元石炭公団総裁・菅礼之助氏がいる。ただ一般的な天下りとは状況が異なるのでリストからはずした。
出身官庁別にみれば、東京都の9人が最も多い。経済産業省の5人を大きく引き離しダントツで1位だ。以下、役所ごとの天下りリストを列記する。時代のあたらしいものから順に記載した。
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続いて経済産業省である。
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旧大蔵省や日銀からは3人が天下っている。
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外務省、東大、神戸市や海軍の出身者もいる。
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これらの歴代天下り20人のうち、本稿ではランキング1位の東京都に焦点をあてることにしたい。
◇都見解「天下りは『社会』に有意義」って?
東京電力の創業は1951年。以来、常に途切れることなく出納長や交通局長ら都の幹部が取締役になってきた。都の指定席といってよい。
どうして東京都からこれほど多数の役員が出ているのか。筆者の頭には当然のように「天下り」という言葉が浮かんだ。だが同時に別の可能性も考えた。
東京都が保有する東電株は4267万6791株(2010年9月時点)。約2・7%を占める大株主である。筆頭株主は日本トラスティ・サービス信託銀行、次に第一生命、日本生命、日本マスタートラスト信託銀行と続いて、5番目の株主が東京都だ。
大株主であれば役員を送り込んだとしても不思議ではない。東電役員の都幹部OBは都が派遣したものかもしれない。念のため、この点を都に確かめることにした。
「東電役員に都の幹部OBがいらっしゃいますが、その理由は何でしょうか」
広報に尋ねたところ、数日してから電話があった。総務局人事部人事課主査の繁宮賢氏だ。
「民間企業の再就職は企業のほうからの求めに応じて人材情報の提供をしています。個別の経緯は詳細を把握しかねています」
文書を読み上げるように繁宮主査は答えた。要するにこういうことらしい。
① 幹部OBが東電に「再就職」したのは同社からの求人がきっかけである。② それぞれどういういきさつで再就職したのかは都の知らないことである。
都とは関係なし、純粋な天下りであることがはっきりした。
天下りが世の顰蹙を買うようになって久しい。この悪弊について東京都はどう考えているのか。この疑問について繁宮主査は次のように、やはり文書を読むような調子で答えた。
「都の幹部職員の再就職ですが、定年もしくはその直前まで働いた後に、再就職先で、都の在職時に培われた知識や経験を活用して社会に貢献するものである。そういうことから有意義なものと考えて…..この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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