朝日新聞 2011.11.5
森では12種類のサルが確認されている。まるで手招きするかのようなしぐさを見せるサル。ガイドによるとカプチンモンキーの子どもだという=ヤスニ国立公園
午後3時、気温24度。アマゾン最上流部の熱帯雨林は、意外にも涼しい。
エクアドル東部、ペルーとの国境に広がるヤスニ国立公園には陸路では行けない。文明との接触を避けて暮らす先住民がいる森。キトの東約160キロのコカからナポ川をボートで2時間、公園の入り口からは手こぎのカヌーに乗り換える。
サルの群れが現れ、カヌーと距離を保ちながら木を飛び移る。ガイドが「カプチンモンキーだ」と叫ぶ。森で確認された12種のサルで最も賢いという。
赤道直下、西に標高5千メートル超のアンデス山脈を仰ぐ森は生物の宝庫。少なくとも約200種の哺乳類、鳥類約600種、爬虫類(はちゅうるい)約120種、両生類約150種、樹木2700種が青森県ほどの広さに存在すると、米科学誌で報告された。
キト・サンフランシスコ大のデビッド・ロモ教授(生態学)は「地球でこれほど多くの生物が集中する地域はここだけ。それだけに微妙な変化でも生態系は崩れる」と指摘する。
だが、この森には人間を魅了するもう一つのものがある。石油だ。公園内のイシュピンゴ・タンボコチャ・ティプティニ(ITT)地区の地下にはエクアドルの石油埋蔵量の約2割を占める大油田が眠っている。
You can follow any responses to this entry through the You can leave a response, or trackback.