東京新聞
2011.11.2
(上) 食材産地、公表の動き
食品に含まれる放射性物質の規制値を国が見直す中、特に懸念されるのが子どもの内部被ばくだ。県内の学校給食で独自に食材などを検査している自治体は七市町にとどまっている。ただし、県学校給食会が主食の検査実施を決め、検査に前向きな市町も出てくるなど、食の安全の確保へ、じわりと動きが出始めた。 (鈴木久美子)
表の結果は十月中下旬、県内三十五市町村の教育委員会や共同調理場に聞き取りした。
どの市町村も「市場に出ている食材は検査を経て安全が確認されている。暫定規制値を超えた物は出荷されていないはず」との見解を示した。
その上で、独自に検査している自治体は「保護者の心配、要望が大きい」ことを理由に挙げた。「保護者の安心のために行っている」(前橋市など)。
保護者からは「産地が分からないと不安」「国の規制値は甘い」といった声が寄せられていた。弁当持参を希望する親がいた場合は、「学校長の判断」(高崎市)、「最後の最後は(給食を)強制はできない」(邑楽町)などの対応があり、弁当を持参することで学校でいじめにあうことのないよう配慮が必要との答えもあった。
放射線対策をきっかけに、食材の産地を市町村のホームページや保護者へ渡す給食だよりなどで公表する動きもあった。公表していない市町村も、食材の仕入れ時に産地を確認しており、保護者の問い合わせに答えるとしている。
主食のご飯やパン、うどんを一日に約十七万五千食供給する県学校給食会も、福島第一原発事故後に収穫された米と小麦粉を、独自に検査する。
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2011.11.3
(下) 検査方法、手探り状態
学校給食の検査を独自に行う市町は県内でも出てきたが、検査方法の手探りが続く。
前橋、桐生、太田の各市と吉岡町は、献立によく使う食材を数品選び、民間の機関に依頼して、月に二回検査している。検出下限値は放射性ヨウ素一〇ベクレル、放射性セシウム一〇~二〇ベクレルが多く、桐生市は共に一ベクレル。費用は一検体七、八千円程度(桐生は一万六千円)。検査に数日かかるため結果は食べた後に分かるが「確認の意味がある」という。
伊勢崎市は仕入れを早く特定できる市内産を調べており、食べる前に結果が分かる。
千代田町は簡易測定器(約二十四万円)を購入し食材を調べ、月一度、民間の機関でも検査をしている。
「食材だけでは網羅できない」と、十月末から子どもが実際に食べる調理済みの給食の検査を始めたのが富岡市。民間の機関に依頼して月二回、実施。
全国的には調理済み給食をすべて検査する方式が注目されている。神奈川県横須賀市は十月中旬、給食を一週間分ずつまとめ、民間の機関で検査し始めた。検出下限値は〇・五~〇・六ベクレル。
「万が一、(高い)数値が出た場合に、何を食べたか正確に把握し、内部被ばくの対策をとるための検査」と担当者。同県の海老名市も同様に十月末から始めた。
埼玉県蕨市も測定機を購入し今月上旬から毎日、静岡県掛川市も十二月に納入予定の測定機で一週間分ずつ、調理済み給食を測定する。消費者庁は全国の自治体に測定機の貸し出しもしている。 (鈴木久美子)
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