田中龍作ジャーナル 2011.10.29
「子供をすぐに避難させろ」…。巨大な東電ビルを見上げながら母親たちは声を限りに叫んだ。=29日、東電前。写真:中野博子撮影=
「原発止めろ」と訴えて経産省前で座り込みを続けていた福島のカアちゃん達が、怒りを爆発させた。子供たちを被曝させた東京電力に今日、デモをかけたのである。
福島の母親たちのほとんどが、東電へのデモは初めてである。溜りに溜ったうっ憤は、殺気さえ感じさせた。5人の子供を持つ佐藤幸子さん(福島市在住)は、吐き出すように話した―
「全責任は東電にある。セシウム入りの尿と校庭の土と米を東電にぶちまけてやりたい」。佐藤さんは対政府交渉の席に放射能汚染された校庭の土を持 ち込んで「舐めて下さい」と霞が関官僚に迫ったことで知られる。子供の尿からセシウムが検出された時は、同じ尿を役人に突き付けた。
佐々木慶子さん(福島市在住)も東電にデモをかけるのは初めてだ。「東電は国民を騙して『原発は安全』と言ってきたが、その神話は崩れた。謝れと言いたい。核のゴミは自分で引き受けろ。東電が作り出したものだから」。佐々木さんは怒りが収まらない様子だった。
デモ隊の列は長かった。福島の母親たちを先頭に全国各地から駆け付けた女性が続いた。男たちは介添えだ。デモ隊の列は長かった。参加者は全部で千人近くいただろうか。
日比谷公園をスタートした一行は、東電前に達するとシュプレヒコールのフレーズを変えた。「情報を隠ぺいするな~」、「子供たちをすぐ避難させろ~」……。
カアちゃん達のアピールは、子供を守りたい気持ちで溢れ、ごく常識的なものだった。シンプルだからこそ強い。経産省前座り込みはさらに7日続く。「脱原発世論」を決定づける何かが起きそうな予感がする。
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