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北海道電力:「やらせ」問題 第三者委報告 反原発団体、批判次々 /北海道

10月 17th, 2011 | Posted by nanohana in 3 東電 電力会社 原子力産業 | 3 隠蔽・情報操作と圧力 | 3 首長、自治体 | 4 他の原発全般

毎日新聞 2011.10.14 地方版

◇「プルサーマル撤回を」 開始の遅れ必至の情勢

プルサーマル計画の白紙撤回を--。北海道電力泊原発3号機のプルサーマル計画をめぐる「やらせ」問題で、北電の第三者委員会による14日の調査報告発表を受け、道と北電に不信感を募らせた道内の反原発団体は一斉に批判の声を上げた。定期検査で停止中の1、2号機の再稼働も認めるべきではないとの声も拡大。プルサーマル発電は開始が遅れるのは必至の情勢で、北電からは、専用燃料の製造を委託した仏企業の違約金請求におびえる声も漏れる。不正の代償は大きい。【坂井友子、吉井理記、今井美津子、円谷美晶】

◆「信頼は砕けた」

「Shut泊」の泉かおり代表は「北電、経済産業省、道、みんなが国民をだまし続けた。プルサーマルの即白紙撤回は当然。北電社長や知事は道民が納得する形で責任を取るべきだ」と憤った。報告書は北電社員だけでなく道職員の関与も指摘した。「北海道平和運動フォーラム」の山田剛代表は「道庁の信頼は木っ端みじんに砕けた。泊原発1、2号機の再稼働は許すべきではない」と話した。

08年8月の国主催のシンポにパネリストとして出席した岩内町の「岩内原発問題研究会」の斉藤武一代表は「プルサーマルや再稼働は住民投票などで民意を問い直すべきだ」と指摘した。

◆再稼働に影響も

第三者委は国か道が主催した全シンポジウムの「やらせ」を認定。プルサーマル推進の前提となる「住民合意」の土台が崩れた。北電は問題発覚後、仏企業に発注していたプルサーマル発電の専用燃料の製造を凍結したが、世論の動向によっては計画自体が中止に追い込まれる可能性もある。

北電は13年度にもプルサーマル発電を開始したい考えだが、中止になれば英仏両国で保管している大量の使用済み核燃料や、再処理したプルトニウムの行き場所がなくなる。北電幹部は「燃料の製造を委託した企業から高額の違約金を求められる可能性もある」と話す。「計画を無期限凍結しなければ、1、2号機の再稼働は認められないのではないか」との観測も北電内部から出ている。

◆地元首長は静観

一方、泊原発の地元町村長は静観の構え。泊村の牧野浩臣村長は「第三者委員会で(やらせが)事実と認定されたが、(来週にも予定される)北電の会見を聞いて今後の対応を判断したい」と話した。プルサーマルは「安全性や信頼性が確保されれば問題ない」と理解を示した。共和町の山本栄二町長も「(プルサーマル受け入れは)議会で議論を重ね、町として判断した。シンポジウムの結果で容認したのではない」と強調。岩内町の上岡雄司町長は「調査結果を確認していないので、今は話せない」と明言を避けた。
◇「保安院自身が大いに反省を」--原子力災害対策監

経済産業省原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は14日の会見で、「シンポジウムや説明会は、中立公正が確保された上で意見が表明できる場でなければならない。(やらせについて)保安院自身が大いに反省しないといけないし、電力会社もしっかりと対応してほしい」と述べた。

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◆泊原発を巡る北電「やらせ」問題の経緯◆

年  月  日

98・ 7・29 北電が泊3号機増設を道と地元町村に申し入れ

99・ 9・30 茨城県東海村の核燃料加工施設で臨界事故が発生

10・ 8 道の「ご意見を聴く会」や道民意見募集で、北電による増設賛成意見の多数派工作が発覚

12 堀達也知事(当時)が「聴く会」延期を表明

00・ 3・18

~30 道内5カ所で「聴く会」開催

9・ 5 堀知事が3号機増設に同意

08・ 4・18 北電が泊原発3号機のプルサーマル計画を道と地元4町村に申し入れ

5・ 9 道がプルサーマル計画に関する有識者検討会議を設置

5・19

~6・13 道が第1次意見募集

5・30

~6・ 1 道が「ご意見を伺う会」開催(道内5カ所)

6・16

~7・11 道が第2次意見募集

8・31 資源エネルギー庁主催シンポジウム(泊村)

10・ 3

~31 有識者検討会議の中間報告について道が意見募集

10・12 道主催シンポジウム(岩内町)

12・14 有識者検討会議がプルサーマル計画は「安全性が確保される」と道と地元町村に提言

09・ 3・ 3 高橋はるみ知事がプルサーマル計画に同意を表明

11・ 3・11 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故が発生

7・ 6 玄海原発の運転再開を巡り、九電の「やらせ」が発覚

14 経産省が国主催シンポの「やらせ」有無について北電など電力各社に調査を指示

28 北電の佐藤佳孝社長が記者会見で「やらせ」を否定

8・26 共産党道委員会の指摘を受け、北電が道主催シンポの「やらせ」メールを認める

31 北電がエネ庁主催シンポの「やらせ」メールを認める

9・ 3 北電が「やらせ」問題の調査で第三者委を設置

7 道議会が北電幹部を参考人招致。佐藤社長は出席せず

30 経産省の第三者委が最終報告書を公表、エネ庁の北電に対する「やらせ」要請が判明

10・14 北電の第三者委が調査結果を報告

北電やらせ問題:高橋知事、道の関与全面否定
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毎日新聞 2011年10月15日 地方版

北海道電力:「やらせ」問題 第三者委報告 森啓・元北大教授に聞く /北海道

北海道電力の「やらせ問題」を調査した第三者委員会の報告書の評価と、北電や道の責任などについて、森啓・元北海道大教授(公共政策論)に意見を聞いた。【聞き手・鈴木勝一】
◇道の判断に影響 幅広い道民議論の場を

北電が委員を人選したので「第三者ではなく北電のための委員会」との疑念を持っていた。だが、報告書は要領よく問題点をまとめている。評価できる内容だ。

北電の石井孝久副社長が記者に対し、「関係者を処分する」との趣旨を語っていたが、誠に筋違いな話だ。北電関係者が勝手な意思で「やらせ」を企てたというのはあり得ない。佐藤佳孝社長が自ら会見して道民に「誠に申し訳ない」と謝るのが筋だ。

道の関与も指摘された。シンポジウムの主催者である道は責任を感じるべきだ。今回の調査結果を受け、やらせの事実が明らかになった以上、行政判断に影響がなかったとは言えない。高橋はるみ知事はプルサーマル計画を振り出しに戻すべきだ。

原発の問題について道民から公正な意見を集めようとするなら、これまでのようなシンポジウム形式で賛否の数を比べるのは適切でない。原発に関する正しい知識を道民が持ち、是非を適切に判断できるよう、勉強会や研究会の活動を道が支援することが必要だ。泊原発から30キロ圏外である札幌市などを含めて、幅広い道民が議論に参加できるようにするべきだ。(談)

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毎日新聞 2011年10月15日 地方版

解説:北海道電力「やらせ」問題 第三者委報告 軽いトップ2人の発言 /北海道

「当時の幹部職員に聞き、事実はないと明確に確認した」。高橋はるみ知事は道の「やらせ」関与を繰り返し否定してきた。だが、北電の第三者委員会は、泊原発3号機プルサーマル計画に関する道の意見募集で、道から北電側に「やらせ」要請があったと指摘。道民の判断を仰ぐ中立的立場にありながら、計画推進の裏工作に関与していたのが事実なら、道の責任は極めて重い。

北電の隠蔽(いんぺい)体質も改めて浮き彫りになった。国が「やらせ」有無の調査を電力各社に要請した後、北電の佐藤佳孝社長は7月の記者会見で「社員の動員はなかった」と説明。だが、外部の指摘などで同社の関与が次々と発覚。調査がずさんだったばかりか、その後、佐藤社長は公の場での説明を拒み続けてきた。

第三者委の設置時、北電は「全容解明に全力を挙げて取り組む」としたが、実際は真相を意図的に伏せてきた節がある。第三者委の市川茂樹委員長も「(北電の調査対象者は)『覚えてない』、『記憶に無い』という回答が非常に多く、十分協力を受けたという評価はしていない」と批判。道も、当時の担当者への聞き取りにとどめ、独自調査を先送りしてきた。

道内のエネルギー政策を担うトップ2人の発言はあまりにも軽い。道も北電も自ら膿(うみ)を出せなければ、道民の信頼回復は到底望めない。【岸川弘明】

 

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