中国新聞 2011.10.15
東京電力福島第1原発事故の影響で、シイタケ栽培に必要な原木が不足し、各地の生産者を悩ませている。放射性物質による汚染の懸念で、良質で知られる福島県産の原木の出荷が自粛されているためで、農家からは「来年の栽培に向けて必要な本数が手に入らない」との声も上がっている。
林野庁によると、シイタケの原木で都道府県境を越えて流通したのは、2009年は全国で5万1603立方メートルあった。このうち、福島県産は約2万8千立方メートルと50%超を占め、北海道から四国まで幅広く流通している。特に茨城は県内で使った原木の38%に当たる8846立方メートル、千葉は47%に当たる4359立方メートルがそれぞれ福島産だった。
しかし林野庁は8月、放射性物質が付着している可能性があるとして原木の出荷自粛を要請した。今月6日には原木の放射性セシウムの暫定基準値を1キログラム当たり150ベクレルに設定し、基準を下回れば出荷できるとしたが、福島県の担当者は「相当厳しい基準で、県内の原木を産出する地域の多くでこの秋から冬にかけて出荷できないかもしれない」と話す。
原木によるシイタケの栽培開始は2月以降。生産者は前年の9月ごろまでに林業者に原木を発注、必要量を伐採してもらうが、福島県以外の業者への発注が急に増えても林道整備などに時間がかかるため、すぐに対応するのは難しいという。
茨城県原木しいたけ組合の飯泉孝司いいずみ・たかし会長は「来年は原木が足りずに栽培を始められない人も多いのではないか。国は安全な木が入手できるようバックアップしてほしい」と訴えている。
中国新聞
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