注目される農村発電
10月 13th, 2011 | Posted by in 2 代替エネルギー東京新聞 【私説・論説室から】 2011年10月12日
アジアモンスーン気候の日本は、雨の列島でもある。山肌に降り注ぐ雨粒は、無数のせせらぎをつくり、やがて川となる。
その水力を利用した小規模発電が、農山村で活躍していることは意外と知られていない。雑誌「季刊地域」(農文協)が「いまこそ農村力発電」と題した特集で、全国各地の中小水力発電を紹介している。
わずか十メートルの落差でも電気は作られる。用水路の中に設けた「らせん型水車」で常時五、六百ワットを生み出している民間団体がある。明治・大正期から開削された農業用水の落差二百九メートルを利用して、出力二千三百キロワットを起こし、年間の売電収入が一億三千万円にのぼる発電所もある。
高度成長期や減反政策により「余水活用対策」として誕生した発電所が、数多く存在し、現在も地域電力の源となっているのだ。
百キロワットの小水力発電所があれば、百戸ほどの集落の電力が十分、まかなえるとも聞けば、もはや見捨てた存在ではあるまい。
「原発」の燃料であるウランは有限で希少資源である。それに比べて「農発」は、雨が降る限り、無限のエネルギーである。それどころか、不確実さが指摘される風力発電や太陽光発電と比べて、着実に発電が見込まれる。計算できる再生可能エネルギーなのだ。
山麓や丘陵地に適地はいくらでも発見できよう。雨粒がもたらす「農発」が注目される。 (桐山桂一)
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