除染では解決できない 早ければ今秋にも健康被害の恐れ
10月 10th, 2011 | Posted by in 1 体への影響と防御 | 1 子供たちを守ろう | 1 放射能汚染 | 1 汚染の拡散 | 1 福島を救え | 3 利権・推進派・御用学者 | 3 政府の方針と対応 | 3 隠蔽・情報操作と圧力 | 3 首長、自治体 | 4 核廃棄物 がれき 汚泥 | 5 オピニオンピープルズニュース 1426号
中手聖一さん(「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」代表)に聞く
「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」(子ども福島)代表・中手聖一さんに、山下俊一(福島医大副学長)らが進める「安全キャンペーン」の影響や背景、さらに放射能の脅威に揺れる住民の心情について聞いた。
放射能不安について「2極化が進んでいる」としたうえで、数年後には、子ども・新生児の具体的な健康被害が出始めることで、あらためて放射能の危険性がクローズアップされ、「県民の半分は避難することになるだろう」と予想する。(文責・編集部)
避難とあきらめ─2極化進む不安心理
事故直後、放射能の危険性を知っている人は、いち早く県外避難しましたが、彼(女)らに対して「あの人たちは逃げていった」との非難めいた言葉が投げつけられました。脱原発派の人たちの一部からも聞かれた言葉です。
「本当は逃げないといけないし、逃げたいんだけれども、事情があってできない」―そんな複雑な心情の裏返しが、「逃げた」という非難の言葉に繋がったのかもわかりません。
ネットワーク内部でも、「今すぐ避難すべきだ」「除染すれば住み続けるられるのではないか」など、様々な意見と選択が錯綜しました。だから私たちは、「子どもたちを放射能から守るという一点で一致し、それぞれの選択を認め合う」との理念を第一に掲げました。
事故直後の混乱の中、地域の中では放射能の危険や不安を口にすると「変人」扱いされました。避難する人も圧倒的に少数派でしたし、ネットワークのメ ンバーたちは、孤立していました。しかし、実態が徐々に明らかになり、「福島は汚染された」という共通認識が広がりつつあります。
実際、原発推進派や農協などは「風評被害に負けるな」と、盛んにキャンペーンしていますが、スーパーには、福島県産に代わって、今まで見たこともな かった九州産・四国産の野菜が並びました。県民の中で汚染の認識や恐怖が共有され、福島県産の野菜を避けるようになっているからです。
今、住民意識の溝が生まれているとすれば、それは、①今、真剣に避難を検討している人たちと、②避難するわけにはいかないのだから、「これ以上考えてもしょうがない」と、目を背けて諦めようとする人たちが、2極化しているのだと思います。
被害の露顕は時間の問題
ただし、この2極化も一時的なものです。数年以内に、福島県の半分以上の地域が、避難区域になるでしょう。チェルノブイリでは、年間5㍉SV以上の 人には移住が勧告され(福島の基準は、20㍉SV)、補償されることになりましたが、この措置は事故発生の5年後でした。事故後2~3年後位から、風邪が 治らない、健康な子どもが減っていく、という健康被害が現れ、政府やNGOが汚染実態の調査を始めて、避難勧告へと繋がりました。
福島では、今秋から影響が出始めるかもわかりません。放射能は、弱い者から影響が出ます。まず胎児です。猛烈な細胞分裂をしている胎児が被曝していたとしたら、秋に生まれる新生児に影響が出るかもわかりません。
数年以内に、隠しようのない健康被害が見え始めるでしょう。「自分の子どもが病に倒れる、クラスの子がみんなおかしい、運動会もできなくなる」―そ んな現実が来るのです。いずれ日本政府は、大規模な避難計画を立てねばならなくなるでしょう。今は、「除染して、なんとか頑張ろう」と言っている人たち も、変わらざるを得なくなります。
つまり、現在の不安の2極化も、①今、決断するか、②目に見えるようになるまで気がつかないか?という、時期の違いだけだと認識しています。家族は 避難させて、自分は仕事のために残っている私のような人も、たくさんいます。でもその仕事だって、いつまで続くか、わからないのです。
福島県民の約5万人が既に自主避難し、夏休みの一時避難でさらに数万人が県外に避難しました。来春までには、約10万人が福島からいなくなるでしょう。そうなれば、産業も雇用も変わらざるを得ないのです。
「安全」幻想振りまく御用学者 彼らを配置した支配勢力
山下俊一氏の解任要求署名(約1万筆)を提出しました。これで、県が解任に動くとは思っていません。理由は、山下氏が佐藤知事の人的ネットワークや コネクションで福島に来た人ではないからです。彼ら「安全幻想を振りまく専門家グループ」は、ハイレベルの支配勢力が配置した専門家チームだと思います。
その代表である山下俊一氏は、半年前の論文で「年間10㍉SV以上は、健康被害があり得る」と論じています。彼が福島に来たのは、医師・研究者とし てではなく、「100㍉SVでも大丈夫、という幻想を住民に信じさせる」という政治的使命を与えられて来ているのです。だから彼は、事態の推移にしたがっ て安全基準を政府の発表通りに修正し、当初100㍉SV=安全だった基準を20㍉SVに修正しました。
彼が主導する県民健康被害調査も、結論は決まっています。「この程度の放射能で健康被害は出ない」と言って福島に来た人ですから。研究者としての一貫性とは違う論理と目的で行動しています。
彼を配置した勢力とは、IAEAのような国際的勢力かもわからないし、原発推進派という抽象的なもの、あるいは、個人の名前を挙げた方が良いようなものなのかもわかりません。しかし、そうした明確な意志が働いているように思えてなりません。
震災瓦礫処理は現地で
震災瓦礫処理を全国の自治体に分担してもらう、という政府方針が発表されましたが、被災地以外の住民は、放射能拡散に反対してほしいと思います。震災瓦礫は、広範囲に放射能汚染されています。これを運べば、放射能が全国に拡散するのは不可避です。
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ピープルズニュース
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