毎日新聞 2011.10.5
東京電力福島第1原発事故の影響で放射線量が周辺より高い千葉県柏市に11日、持ち込んだ食品や土などの放射能の強さを測定できる施設がオープン する。利用者が自分で測定するため、民間検査機関より格安。放射能の単位「ベクレル」を「見る」ことから「ベクミル」と名付けられたこの施設に対する関心 は高く、オープン前から見学が相次いでいる。
「ベクミル」はJR柏駅東口の商店街にあり、柏市内でコンピューターソフト開発会社を経営する高松素弘さん(47)が設立した。4歳と9歳の娘の 父でもある高松さんが「子供を守りたい」と、車の買い替えをやめて約100万円のドイツ製検査機器を購入したのがきっかけ。自宅で食品を検査するうちに、 施設開設の構想がふくらんだ。
福島市内に市民団体が運営する測定所があるが、同業者は今のところないという。高松さんは「この地域の子供たちは、放射能と何十年も向き合う必要がある。普段食べているものを検査し、親子が安心を得られる場所になれば」と願う。
使用料は検出限界が1キロ当たり20ベクレルの機器が20分980円、同10ベクレルなら同3980円。民間の検査機関なら7000~1万 5000円ほどかかるという。使用方法を教えられた利用者がミキサーにかけた食材の一部や土を容器に入れ、機器を操作。表示される結果を確認する仕組み だ。
4日からプレオープンしており、行政関係者や研究者も様子を見に来た。「園児が育てたイモを食べてよいかを調べたい」といった問い合わせが1日5 件ほどある。隣接する流山市で農園と自然食品店を営む吉田まささん(56)も来店し「検査機関より安いので、どんどん利用したい」。同市の主婦、釜澤佳江 さん(47)は「安全か知りたい食品を買ってすぐ持ち込める。これから、どんな街にも必要になるのでは」と話した。
木、日曜は休店。予約制で前日(休店の翌日は前々日)に受け付ける。問い合わせはベクミル(04・7189・7416)。【早川健人】
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