NHK 10月2日
東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、アメリカでも市民の間で原発の安全性を疑問視する声が高まるなか、1日、脱原発を求める市民の集会が全米各地で開かれました。
脱原発を求める集会はアメリカの15か所で開かれ、このうちニューヨークでは、ハドソン川に面した公園でおよそ300人が参加しました。104基の原子炉を抱えるアメリカでは、福島第一原発の事故はニュースで大きく取り上げられたほか、最近ではアメリカの原発でも竜巻や地震などによって緊急停止するなどの事態が起き、市民の間で原発の安全性を疑問視する声が高まっています。集会では市民団体の代表が演説し、地元ニューヨーク州で40年近くにわたって稼働している原発の閉鎖を求めました。また、ニューヨークに住む日本人女性が福島県の現状について「母親たちが子どもにマスクをつけさせるべきか、外で遊ばせないべきかと自問自答しなければいけない毎日です」と訴えました。参加した人たちは「福島での事故は原発に対する私の意識も変えた。日本で起きるのであれば、どこでも起きうることだと思うようになった」とか「この問題は日本だけの問題ではなく、国際社会の悲劇だと思う」などと話し、原発から環境にやさしいエネルギーへの転換を求めていました。
アメリカ原子力規制委員会によりますと、アメリカ国内の発電用原子炉は104基と世界で最も多く、総電力量の20%が原子力発電で賄われています。アメリカの原子力発電は1957年、東部のペンシルベニア州で始まり、電力需要の拡大と共に1960年代に急速に発展しましたが、1979年のスリーマイル島原子力発電所の事故で新規の原発建設は途絶えていました。しかし、2001年、当時のブッシュ大統領が、エネルギー不足に対応するためだとしてエネルギー政策に原発の利用促進を盛り込み、推進に大きくかじを切りました。また、オバマ大統領も石油エネルギーへの依存からの脱却の一環として、原発推進の路線を続けています。原子力規制委員会のホームページによりますと、先月30日現在、104基のうち南部・バージニア州にあるノースアナ原発をはじめ10基が地震の影響などで運転を停止しています。
NHK
You can follow any responses to this entry through the You can leave a response, or trackback.