日経新聞 9月29日
福島第1原子力発電所事故で放射性物質による食材の汚染への不安が高まっていることを受け、文部科学省は29日までに、都道府県が学校給食の食材の放射線量を調べる機器の購入費の半額を補助する方針を決めた。給食に使う食材を抽出して検査する方法を想定しているが、専門家は「子供が食べる給食そのものの検査をしなければ不安は消えない」と指摘。同省は効果的な検査方法を示す検討も始めた。
検査機器は食材を破砕して放射線量を測る構造で、購入費は1台数百万円から数千万円という。都道府県が、給食に使うコメや野菜、肉、魚などのサンプル検査を市町村から受け付け、結果を伝える方法を想定している。今年度の第3次補正予算案で約1億円を要求。東日本を中心とする都県に配布する考えだ。
市場に流通する食材は放射線量が暫定規制値を下回ることが前提だが、保護者の不安の高まりから、給食で使う食材の独自検査を始める自治体もある。同省は「不安を少しでも減らすには検査体制を充実させる必要がある」と判断した。
ただ、文科省の検査方法では不十分との声もある。東京大大学院の早野龍五教授は「サンプルを調べる方式では検査をすり抜ける食材があっても分からない不安が残る。子供が実際に摂取する放射性物質の量も不明だ」と指摘。ご飯やおかず、牛乳などの給食1食分を丸ごとミキサーにかけ、容器に入れて検査する方法と併用することを提唱し、同省にも伝えた。
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