”除染”が大きく取り上げられるようになったのは、東大の児玉龍彦教授が国会の参考人として国会で裂帛の演説を行い、大きな反響を巻き起こして以来かもしれない。各地の自治体が、住民主導による除染を認知しようとせず、”清掃”と言わせていたころからすると大きな進歩で、児玉教授の功績は大変に大きい。
当然のことだが、除染はやらないよりやったほうがずっといい。特に自宅の庭や建物周辺、子供達が長時間過ごす、学校のグランドや公園などは少しでも線量を下げなければいけない。
しかし、除染さえ行えばそれですべてが元通りになって、何の不安もなくなるのか?それをもって”安全”を宣言してよいのか?
残念ながら、そうではない。
確かに除染がうまくいき、大幅に線量が下がる場合があるが、ゼロになるわけではない。何分の一かになるだけだ。
学校のグランドは除染出来ても、学区域全体の汚染がなくなるわけではない。多くの危険なレベルの汚染地域で、子どもたちを避難もさせずそのまま学校に通わせているが、グランドの除染だけで安全宣言を出されては困る。
ましてや、林などでは除染そのものが困難で、その方法が確立されていない。
こうしてみると、除染は、それをしなければ大きな不安が伴うような汚染地帯に、やむをえず住み続けなければいけない場合の、緊急避難的対策の第一歩と考えたほうが良いだろう。それは対策の始まりであって終わりではない。それを持って”安全宣言”をすることはできない。対症療法であって、避難のような根本的な対策ではない。ある意味、放射能との”共生”的な考え方に通じるところもあり注意が必要だ。実際、除染計画の策定を根拠に緊急時避難準備区域は解除されようとしている。政府に言わせれば、除染するのだから、もうすんでもいいですよというわけだ。
除線を根拠に”安全”宣言をさせてはならない。避難が必要な地域が、避難解除される口実にしてはならない。今後、自主避難への圧力ともなりかねない。
除染は万能ではないし、汚染対策としては第一歩であって、決してそれだけで十分なものでもないことをはっきりさせてゆく必要がある。
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ピープルズニュース住民を逃さないためのプロパガンダ 「市民除染プロジェクト」
<3h>高水圧除染はやらない方がマシ
大波町は、全村避難地域となった飯舘村の北側に位置する。原子炉建屋の水素爆発で大量に放出された放 射能は、風に乗って飯舘村を襲い、福島市内に流れ込んだ。大波町はその通り道で、森林に囲まれた小池さん宅の放射線量は、庭先で3μSV/hを越える。飯 舘村役場の線量と同等という、高度に汚染された家屋だ。
▲「市民除染プロジェクト」
代表の山田国広さん
朝10時、同プロジェクトメンバーは、大波地区活性化センターに集合。打ち合わせの後、小池さん宅に向かった。ちなみに同センター側溝の放射線量を測定すると、8・2μSV/h!!飯舘町役場前の2倍を超える高線量に、身が引き締まった。
当 日の除染実験は、屋根と畑だ。除染といえば、長いノズルで道路や側溝を洗い流す光景を思い浮かべる。しかし、「高圧水除染は、放射能を拡散させるだけで、 効果も低い。やらない方がマシ」と山田さんはいう。仮に屋根上の放射能を高圧水で洗い流すと、一時的に線量は低下するかもしれないが、数日の内に周囲から 放射能が降り積もり、雨が降れば、元の木阿弥となる。噴射された放射能水は軒下、雨樋などに溜まるので、かえって被曝の可能性が高まる。
こ のため市民除染プロジェクトは、百円ショップなどでも売られている合成糊で放射能を吸着させ、はぎ取るという方法を提案している。この日は、2つの方法を 試した。1つは、合成糊を塗布したフィルムを屋根に貼り付け、はぎ取る。もう一つは、合成糊の原液を屋根に塗布し、布を被せて乾かせて、はぎ取るという方 法だ。
屋根に上って、まず線量測定。除染後と比較するためだ。屋根の上、軒下などで、2・5~3μSV/h。やはり高い。糊は完全に乾かないと効果が出ないということで、先に作業を開始した。
畑 の除染は、草刈りが基本だ。放射能を含んだ塵が草木に降り積もり、草の葉などは今も高い線量を示している。山田さんたちが行った現地測定でわかったホット スポットの例として、次のようなデータを発表している。①草むら(28μSV/h!)、②側溝(9μSV/h)、③学校の花壇(3・26μSV/h)、④ 公園の滑り台下(18μSV/h)。これをみても草むらは、非常に高い汚染源となっていることがわかる。
この日も、草の刈り取り前後で放射 線量を測定・比較し、刈り取り後の線量がその後の経過でどう変化するかを観察する。福島は、豊かで広大な森林が市街地を囲んでいる。市街地をいくら除染し ても、周囲にある森林が汚染源となり、再び市街地を汚染する。政府の除染計画の中に、森林の除染は含まれていない。
昼食を挟んで、屋根と畑の作業を完了し、屋根に貼り付けた合成糊をはぎ取り、福本能也(大阪大准教授)氏が大学に持ち帰って、どれ程の放射能がはぎ取れたかを測定することとなった。
市民除染プロジェクトは今後、住宅と田畑の除染マニュアルを仕上げた後、10軒モデルを作成する。除染は、地域全体で行うことで、はじめて効果が上がるからだ。
除染も自己責任?
「子 どもたちを被ばくから守るには、ほかの地域へ移るか、除染を行うか、どちらかを選択する段階になっている」と、山田さんは指摘する。夏休みを終えて、約1 割の生徒児童が県外に避難したが、大半の子ども達は、年間20㍉SVの被曝を強いられている。除染への期待が高い所以だ。
南相馬市では、児 玉龍彦(東大教授)氏の指導を受け除染プロジェクトが始動した。8、9月を「除染強化月間」とし7月末には市職員ら70人が参加して幼稚園や通学路の除染 作業が行われた。今後、放射性物質除染マニュアルや対応策ロードマップなどを作成して公共施設や民間施設の除染に取り組むという。
児玉氏は「今回の除染作業はあくまでも緊急的な対応。今後、放射性物質の処分も含めた継続的な除染には国などの支援が不可欠」として、今後、小中学校や幼稚園など市内計45施設で行われる除染の現場に立ち会い、助言にあたるという。
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除染には高いハードルri-da
…(中略)…
除染によって福島は住み続けられる地域になるのか? とてもYESとは言えない現実があった。
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