現代ビジネス 週刊現代 9月13日
「200万人の福島県民すべてが被験者です。科学界に記録を打ち立てる大事業になるでしょう」
原発事故後「放射線の影響は、ニコニコ笑っている人には来ません。クヨクヨしている人に来ます」と発言し大顰蹙を買った、「ミスター大丈夫」こと山下俊一・長崎大教授。現在、福島県立医科大学の副学長を兼務し、全県民の健康調査を取りまとめる彼が、発行部数100万部を誇るドイツの週刊誌『デア・シュピーゲル』8月15日号で、冒頭のような仰天発言をまたしても連発している。
「逃げるか残るか、決めるのはその人自身です」
「福島の子供たち36万人の甲状腺を調べる。チェルノブイリの調査では、被曝から発がんまで5年かかることがわかった」(同誌)
これまで「福島の放射線量は全く心配ない」「子供たちも外でどんどん遊んでいい」と安心・安全を主張してきたのが一転、「福島はチェルノブイリのようになる」と言わんばかりだ。
過去の講演会では「年間100ミリシーベルトまで安全」という持論を展開してきたが、最近は「100ミリシーベルト以下は何とも言えない」に変わっている。本誌が真意を尋ねても「調査は低線量被曝の被害を調べるためではなく、県民の健康管理のため」と、教授の答えは当を得ない。
その山下教授が1日、がん征圧の功労者に贈られる「朝日がん大賞」を受賞したから驚きだ。賞を運営する日本対がん協会は「放射線医療の中心として、成果を世界に発信することが期待された」と称賛するが、「本当に山下教授でいいのか」と訝る声も多い。
科学界に記録を打ち立てるために、福島県民は被曝したのではない。
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科学界に実績を残したいならなさればいい。しかし山下氏のやれることは統計上の紙の上だけのことです。人は自然と同じに生きている。優れた科学者は純粋な知性と冷静で繊細な感覚と注意深い観察力をもっています。こと山下氏に関してはそのどれも欠如しているように感じられます。野心はエネルギー源です。しかし目的にはなり得ません。目の前の人の機微が分からない科学者は何をやっても間違った方向に行きます。もっと科学者としての正直な姿をみせてください。目の前の人の状況をしっかり把握する努力をして少なくとも逆なでする行為だけは慎んでください。人はいっぱひとからげの烏合の衆ではありません。優れた科学者は優れた研究と、人としての自分に返るその遠い道のりを常に行き来している厳しい人間だと確信します。山下氏にもそれを期待してやみません。