低コストの新型太陽電池の基板を手にする南教授(左)と宮田教授=金沢工大 |
金沢工大工学部の南内嗣(ただつぐ)、宮田俊弘の両教授は27日までに、銅板と亜鉛 を組み合わせた新型太陽電池の基板を開発した。従来のシリコン製に比べ100分の1の 費用で製造できるとしている。福島第1原発事故を経て政府が「サンライズ計画」を発表 し太陽熱エネルギーが関心を集める中、両教授は「低コストの太陽電池をぜひ実用化させ たい」と意気込んでいる。
新型太陽電池の基板は電熱器で焼いた銅板(多結晶亜酸化銅)に亜鉛膜を重ねて作った 。太陽光が基板に当たると青と緑色の光を吸収して電気に変える仕組みで、光から電気へ の変換効率は3・8%。1980年代に同じ手法で米国で製作された基板の変換効率1・ 8%の2倍程度に高まり、実用化のめどがついたとしている。
南、宮田両教授によると、従来のシリコン製太陽電池の基板は直径15センチの円盤状 で製造に約8千円かかるの対し、今回、開発した基板は数十円で作ることができる。製造 コストをおよそ100分の1まで下げることで、一戸当たり約300万円かかるとされる 太陽光発電施設の設置費も大幅に抑えることが可能になるという。
研究成果は23日、社団法人応用物理学会の審査を経て同学会報の電子版に掲載され、 世界に発信された。
南教授は宮田教授が金沢工大生のころ指導したという間柄。師弟コンビは「新型太陽電 池は希少金属(レアメタル)を一切使わず、無毒の銅や亜鉛が素材で原料が豊富という点 でも有効と考える」と語った。
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