朝日新聞 2011年6月20日3時0分
白血病で客間に寝ているファデルさんと母親のトルキヤさん=アルワルディエ村、川上写す
イラクの首都バグダッド郊外にあるアルワルディエ村を訪れた。2003年4月、イラク戦争による混乱の中、近くの核施設から村民が放射性物質が入った容 器を持ち出して貯水タンクなどとして使った。8年を経て、住民たちは「がんが増えている」と訴え、現地の医師は早急な調査と対応が必要と警告する。
散乱する「イエローケーキ」が入っていたドラム缶=2003年5月、イラク・ザファラニヤ
バグダッド中心部から南に向かう幹線道路を車で約30分、道路の右手に広大な無人地帯が現れる。ツワイサ原子力研究センターだ。村はセンターの南東にある。数軒の商店が並ぶ中心部をのぞけば、耕地と農家が点在する人口1800人の農村である。
センターの外壁から50メートルと離れていないマギド家では、客間でやせた少年が布団に横たわっていた。ファデルさん(15)で、昨年4月、バグダッドの病院で白血病と診断された。
母親トルキヤさん(52)が「私は一日中、息子のそばで座っています。息子に『この薬でいつまで生きていられるのか』と聞かれるのがつらい」と語る。
さらに奥の部屋に昨年10月に乳がんを手術した長女バイダさん(30)がいた。がんはすぐに再発。2カ月後、手術が難しい背骨に腫瘍(しゅよう)が見つかり、放射線治療を受け、現在自宅にいる。
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