東京新聞 2012.1.28
岡田克也副総理は二十七日の記者会見で、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故対応に関係する計十の政府会議で、議事録が作成されていなかったことを明らかにした。未曽有の大災害で、政府がとった対応を検証できなくなれば、今後の災害対策にも大きな禍根を残す。
Q 議事録を作成していなかったのは、どの会議か。
A 政府の公表=表=によると、震災・原発事故に関係する十五会議のうち、既に未作成が判明していた原子力災害対策本部や、緊急災害対策本部など十の会議が作成していなかった。両本部は首相が本部長を務め、震災・原発事故対応の司令塔的存在だ。また、両本部を含む三会議は、要点をまとめた議事概要も作っていなかった。
Q 政府はなぜ公表したのか。
A 原子力災害対策本部が議事録を作っていないことが二十三日に判明。公文書管理担当の岡田氏が、震災・原発事故関連の会議について議事録の有無を調べるよう指示した。
Q 法的に問題はないのか。
A 年金記録不備問題をきっかけに、ずさんな公的文書管理に歯止めをかけようと二〇一一年四月に公文書管理法が施行された。同法は、政府の意思決定過程を事後に検証できるよう、行政機関に議事録作成を義務付けている。同法に罰則はないが、今回のケースが法の趣旨に反しているのは明らかだ。
Q どうして議事録を作らなかったのか。
A 原子力災害対策本部事務局の経済産業省原子力安全・保安院は「会議の開催が急に決まるなど、事務的に対応が難しかった」と釈明した。でも、まったく作成していないのはふに落ちない。
政府内には「菅政権が官僚を信用せず、重要な会議で大半の官僚を追い出していたこともあって議事録がない」という説もある。
Q 未作成の議事録はどうするのか。
A 政府は両本部と被災者生活支援チームに関し、二月中をめどに議事概要を作成する方針だ。今回ほどの災害に政府がどう対応したかは、将来の災害対策に生かせる重要な記録。メモや資料をかき集め限りなく議事録に近い内容にすべきだ。
この記事は 東京新聞
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