読売新聞 2012.1.27
東日本大震災で被災地に大量に発生したがれきの処理問題で、大手セメント部門がある「三菱マテリアル」(本社・東京)が県に対し、横瀬町の横瀬工場でがれきを受け入れる意向を示していることが26日、県への取材で分かった。同様に受け入れる考えを示した太平洋セメント熊谷工場(熊谷市)と合わせると、2012年度から2年間で最大計4万トンが処理できる計算だ。
県は26日、資源循環推進課の担当者らを横瀬町に派遣し、横瀬町議会の全12議員に対し、がれき処理の計画や県の放射線の検査態勢などについて説明した。町議会事務局によると、議員からは「被災地を助ける意味合いがあるので推進したい」との意見が出たという。住民から理解を得るため、県はこの後、約20の自治会役員にも説明を行った。
がれきは、岩手県北部の久慈市と野田村周辺の角材などをチップ状に加工した木くずで、太平洋セメント熊谷工場と同じ。東京電力福島第一原発から約310キロ・メートル離れており、県は「原発からの距離が約200キロ・メートルの埼玉より遠く離れた場所。放射性物質に汚染されている可能性は県内よりも低い」としている。
がれきを移送する際は、岩手、埼玉両県が放射性物質を検査し、安全性を確認する。がれき搬入の条件は、1キロ・グラムあたり100ベクレルとしている。今回、岩手県が、予定のがれきを検査したところ、放射性セシウムは検出されなかった。
両社のセメント工場で、がれきは焼却処分され、発生した焼却灰がセメントの材料として利用される。
横瀬町の加藤嘉郎町長はこの日、取材に対し「今後、住民へ説明を行う。住民の理解が得られれば、受け入れを検討し、判断する。まずは『住民第一』だ」と語った。三菱マテリアルは「あくまで地元の了解が前提だが、被災地の復興に協力していきたい」としている。
(2012年1月27日 読売新聞)
この記事は 読売新聞
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