ホウ酸除去 東電動かず
東京新聞 2012.1.22
福島第一原発の高濃度汚染水を処理した水で、核分裂が連鎖的に起きる臨界を防ぐため投入された化学物質のホウ酸が問題視されている。放射性物質を含む処理水は、敷地内のタンクで蓄えきれなくなりつつある。海への放出を迫られることも想定し、これ以上環境を汚さないよう最大限の努力をするのが当然。一方、ホウ酸も有害だが除去は容易にできる。しかし、東京電力は濃度が低いとして、対策に乗り出す気配を見せていない。(深世古峻一)
現在、福島第一に用意された十四万トン分の処理水タンクは、三月中には満杯になる見込み。東電は新たに四万トン分のタンクを準備中だが、増設には限りがある。東電は「安易な海洋放出はしない」としているものの、放出の可能性は否定していない。
ホウ酸は人が吸い込むと吐き気や下痢などの症状が起きる。処理水に溶け込むホウ酸は百五トン。ゴキブリ駆除に使われるホウ酸団子に換算すると、約二百十万個分の量だ。仮に海洋放出となると、漁業関係者の理解を得るにはあまりにも多い。
だが、除去は簡単だ。金沢大学医薬保健学域の太田富久教授(生命科学)によると、ホウ酸は陽イオンと陰イオンが引っ付き合う性質を利用して除去できるという。
使うのは直径一ミリほどの小さな粒状になったイオン交換樹脂(陽イオン)。ホウ酸(陰イオン)が混じった水に投入したり、樹脂を筒に詰め、水を通せばホウ酸が吸着される。
樹脂も特殊なものではなく、水道水の浄化剤などとして市販されており、一キロあたり千五百円程度で入手が可能。工場用など大型のろ過装置もある。
だが、東電の反応は鈍い。担当者は「低濃度なので除去する必要はない」を繰り返すのみで、ホウ酸は毒性も弱いとも強調した。
環境省も「放出となれば水質汚濁防止法の規制をクリアしているのかを確認する必要があるが、今のところ除去が必要な濃度ではないと聞いている」と静観する構えだ。
<事故収束で使われた有害物質> 福島第一原発では、ホウ酸のほか、使用済み核燃料プールに金属の腐食を防止するためのヒドラジン77トンが投入されている。人が触れると皮膚がただれるなどの害はあるが、酸素と反応しやすいため「1カ月程度でほぼ消滅する」(東電)という。処理水には、骨にたまりやすい放射性ストロンチウムが除去できずに残っている。
この記事は 東京新聞
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東電には海洋汚染に対する罪悪感はない。いままで内緒でやってきたことだから。汚染タンクが満杯になればどんどん太平洋に汚染水を放出するだろう。東電には汚染水を処理し続ける能力も意志もない。早く法的整理を行い政府が汚染水の処理にあたらねばならない。福島の放射能を垂れ流しにしておいて全国の原発を再起動させようという野田氏は日本の総理大臣とはいえない。