震災がれきを受け入れ 輪島市
富山新聞 2012.1.17
輪島市は16日までに、東日本大震災で発生した「震災がれき」を石川県内の自治体として初めて受け入れる方針を固めた。同市美谷町の一般廃棄物処理施設「輪島クリーンセンター」での受け入れを想定し、23~25日に宮城県に職員を派遣して引き受け可能ながれきを調べる。既に同センター周辺の住民に受け入れの意向を伝えたが、現時点では容認と反対の声が交錯しており、受け入れる量や日程が決まるまでには曲折も予想される。
梶文秋輪島市長は16日、北國新聞社の取材に対し「被災地を覆うがれきを取り除くことは復興への第一歩。被災地(輪島)が被災地を救うのは筋だ」と述べ、2007(平成19)年の能登半島地震で全国から支援を受けた自治体の市長として、不退転の決意を強調した。
市は、被災地のがれきを輪島クリーンセンターで焼却し、埋め立てる計画。一日50トンの処理能力がある同センターでは同約20トンの処理にとどまっており、受け入れる余力は十分と判断した。
国の基準によると、焼却灰の放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8千ベクレル以下であれば、一般廃棄物と同様に自治体で埋め立てできる。ただ、がれきを焼却した場合、放射性物質が10~33倍に濃縮するとの測定結果があり、放射能への不安から東北と東京都以外では広域処理が進んでいない。静岡県島田市も震災がれきを受け入れる方針を示しているが、住民が反発し、具体的な日程は定まっていない。
輪島市は、被災地の中でも群を抜いてがれきの多い宮城県から受け入れる方針。宮城県によると、同県内のがれきの放射性物質は、福島第1原発事故が起きた福島県境の山元町で濃度が高く、1キログラム当たり993ベクレルが最高。一方、仙台市以北のがれきは同20~50ベクレル前後となっている。
輪島市は12月18日、輪島クリーンセンターが立地する美谷町と、同町に隣接する光浦町の住民に、震災がれきを受け入れる方針を伝えた。美谷町の立壁政義区長(63)は「能登半島地震では全国から救いの手が差し伸べられた。安全基準を満たしたものならば考える」と容認する意向を示しているが、光浦町の山下栄区長(60)は「被災地の惨状も分かるが、農作物や漁業への風評が怖いのも事実」と反対している。
今後、宮城県に派遣した職員が、がれきの放射性物質の含有量を調査した上で、年度内に具体的な受け入れ量や期間を決め、あらためて住民説明会を開く。
この記事は 富山新聞
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