日経新聞 2012.1.6
食品卸の丸水長野県水(長野市、坂本勝社長)は入荷した水産物や肉類について、放射性物質のサンプル調査に乗り出す。昨年末に高精度の検査装置を1台導入。今月から本格的に検査を始める。東京電力福島第1原子力発電所事故で食品の安全性に関心が高まるなか、安心な食品を供給する態勢を強化する。
導入したのは計測器メーカーのテクノエーピー(茨城県ひたちなか市)製の放射線測定装置「TS150Bベクレルモニター」。昨年9月に発売された新機種で、360万円で購入した。検出部に放射線が当たると発光する高感度のシンチレーターを搭載し、手軽な操作で正確な測定ができるのが特徴だ。
検査対象の食品を小さく刻み、700ミリリットルの容器に入れて測定する。15分で1キログラムあたり14ベクレルまで測定できる。昨年末に厚生労働省が示した新基準値のうち、最も厳しい飲料水の基準値(1キロあたり10ベクレル)についても、60分かけて検査すれば測定が可能だという。
丸水長野県水に入荷する水産物、肉類を対象にサンプル調査を始める。水産物については、震災の被害の大きかった三陸沖のもの、ブリやメカジキといった回遊魚、季節により需要が増える鮮魚などを対象にする。2日に1回程度の頻度で2~3種類ずつを社内で検査する。
肉類は鶏肉、豚肉を対象に検査し、取引先の小売店に対して検査結果を通知する。同社によると、食品の放射性物質サンプル検査を実施している卸はほとんどないという。
同社では昨年6月ごろから放射線測定器(ガイガーカウンター)を導入して独自に検査を実施してきたが、食品内部に含まれる放射性物質までは測定できなかった。
これまでの検査で基準を超えたことはなく「高精度な検査で安全性を確かめるのが目的。小売店には安心して仕入れてもらいたい」(同社)とする。
同社は長野県内を地盤とする食品卸で、2011年3月期の売上高は約444億円だった。うち水産部門が約半分を占めている。
この記事は
日経新聞
You can follow any responses to this entry through the You can leave a response, or trackback.