2011.12.30
除染をする「ココ掘れワンワン隊」のメンバーたち=千葉県柏市のしこだ児童センターで、早川健人撮影
東京電力福島第1原発事故の影響で比較的放射線量が高い千葉県柏市で、父母らでつくる市民団体が市に協力し、子供の遊び場の除染や公園の放射線量を測る取り組みが進んでいる。事故後しばらくは、市民が「対策が遅い」と市を批判し対立していたが、市が謝罪して歩み寄り、協力する関係になった。団体のメンバーらは「これこそ市民と行政の協働」と話している。
「線量は問題ないレベル」。事故後、そう言い続ける市役所に対し、まず動いたのは我が子の健康被害を心配した母親たちだった。見知らぬ者同士が口コミやインターネットでつながり、6月に1万人超の署名簿を添えて市に対策を要望した。
驚いた市は7月、小中学校に除染を指示して歩み寄った。9月には秋山浩保市長が「不安に適切に対応できていないとのおしかりを受けます。大変申し訳ありません」と異例の謝罪文を市の広報紙に寄稿。両者のわだかまりは次第に小さくなっていった。
10月に入ると、若い父親たちがツイッターやブログで除染ボランティアへの参加を呼びかけた。代表の会社員、川田晃大(てるお)さん(36)は「子供たちと柏に住み続けたい。行政任せにせず、悲壮感ではなく明るくやりたい」。団体名は「ココ掘れワンワン隊」にした。マスクにゴム手袋姿でスコップなどを持ち寄り、児童センター3カ所の表土を削った。
市民団体「柏計測隊」は、毎週末に約10人が参加し、市職員が測りきれない広大な公園を市と同じ方法で測る活動をしている。データの提供を受け、市は線量の高い場所から除染する。
除染や測定に協力する市民や団体は「つながろう柏! 明るい未来プロジェクト」として連携。2人の娘を持つ母親で「計測隊」隊長の磯山紅(くれない)さん(30)は「放射能汚染は不幸だが、初めて会った市民同士がつながることができた。活動の輪を広げたい」と言う。
市は来年度から3年間の除染計画を策定中で、予算総額は33億円を超える見通し。染谷誠一・市放射線対策室長は「市だけでは手が回らない。本当に助かる」と話している。【早川健人】
毎日新聞 2011年12月30日 9時51分(最終更新 12月30日 10時00分)
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