ホットスポットが見える – 放射線を可視化するポータブルガンマカメラ
12月 25th, 2011 | Posted by in 1 測定防災グッズマガジン 2011.12.24
放射能、放射線、放射性物質──。いずれも人間の肉眼では見ることはできない。そのため、われわれは現在、こうした「目に見えない危険」にさらされ、その不安と恐怖のなかにある。
そして、この姿の見えない危険の存在を知るには、放射線測定器に頼るほかないのが現状である。
そこで、株式会社東芝は、放射線量を色の変化で表示することで放射線を可視化(目に見えるように)するポータブルガンマカメラ装置を開発した。
(測定結果のイメージ)
ポータブルガンマカメラは、放射線センサーで測定したガンマ線とビデオカメラで撮影した映像を信号処理装置で重ね合わせることで、放射線の量を色の違いで表示する。
放射線量が高い場所を赤く、低くなるにつれて黄色、緑、青と色を変えて表示し、肉眼では見えない放射線を色で識別することができる。
地域によって放射線量は均一ではなく、局地的に放射線量が高い「ホットスポット」が存在することはすでに知られている。現在は、道路や公園、家屋などの放射線量は放射線測定器で計測するのが一般的だが、ホットスポットを特定するには時間がかかっていた。
ポータブルガンマカメラは、放射線量の高低を画面上に色の変化で示すと同時に、短時間で広範囲を計測することができるので、ホットスポットの特定が容易になり、除染作業の効率化を図ることができる。そして、除染後に再度、撮影することによって、放射線量が低下したことを確認することができる。
このポータブルガンマカメラは、東京電力福島第一原発の建屋内の調査のために使用された同社製ガンマカメラの性能を向上させたもので、感度・測定性能が30倍以上に高められている。これによって、0.1μSv/h(1mSv/年)という、低い線量率におけるホットスポットを特定することができるようになった。
さらに、周囲からの放射線を遮蔽しながら放射線映像を取得するための遮蔽体設計の最適化や電子回路のコンパクト化によって、約50%の軽量化を実現。重量は9.8kgで持ち運びが可能なので、屋内外を問わず様々な場所で利用できる。
なお、このポータブルガンマカメラ装置は12月中に福島市と共同で実証実験を行なうとともに、2012年初頭から中央官庁や地方自治体などに提案活動を開始する。
◆ポータブルガンマカメラ装置の概要
重量:9.8kg
外形寸法:380(L)×110(W)×241(H)mm
電源:AC100V/バッテリー
バッテリー駆動時間:3時間
放射線センサ:半導体検出素子(128個)
撮影範囲:視野角:60°
株式会社東芝 ホームページ
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
防災グッズマガジン 2011.12.24
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