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西日本新聞 Word Box 2011.11.26
 一律的な「寿命」は定められていない。国は電力会社に対し、運転開始後30年と40年を経過する前に「高経年化技術評価」などを提出させ、その後10年間の運転継続の是非を判断している。しかし福島第1原発事故や玄海原発1号機の試験片温度の上昇を受け、経済産業省原子力安全・保安院は従来の高経年化評価の妥当性を議論するため、専門家の意見聴取会を今月29日に新設する。

(2011年11月26日掲載)
炉内試験片 測定せず 老朽化の指標 09年温度急上昇 12月から玄海1号定期検査 専門家の評価二分

 運転開始後36年の九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)1号機について、九電が12月1日からの定期検査で、原子炉圧力容器の老朽化の度合いを知る方法の一つである試験片の取り出し測定を実施しないことが25日、分かった。直近の2009年に測定した試験片温度が想定を大幅に超えたことが今春判明したばかり。九電は「炉の健全性に問題はなく、規定上、今回の測定は不要」とするが、地元議会などで不安が広がっているだけに、「型通り」の対応を問題視する声も出ている。
 
 玄海1号機は1975年の運転開始で、鋼鉄製の圧力容器は核反応で中性子を浴び、粘り強さが低下する。九電は、この「脆(ぜい)化」と呼ばれる老朽化の状況を把握するため、同容器と同じ鋼鉄製の試験片を6個設置し、過去4回取り出して温度を測定してきた。
 
 温度が高いほど脆化が進んでいるとされ、測定結果は35度(1976年)を皮切りに、37度(80年)、56度(93年)と推移した後、09年には九電の従来想定を20-30度上回る98度に急上昇。全国の原発の中で最も高くなっており、研究者の一部や佐賀県議会などで「緊急時に冷却水を注入すると圧力容器が損傷する恐れが高まっているのではないか」との懸念が出ていた。
 
 九電は温度想定を上方修正する一方、試験片は圧力容器より燃料に近い位置にあるため、同容器自体の温度は80度程度と推定し、「60年間運転したとしても安全基準を下回る水準」と説明。次回の測定について「日本電気協会の規定に基づき、2033年までの適切な時期に行う」とした。
 
 九州大応用力学研究所の渡辺英雄准教授(照射材料工学)は「温度は老朽化を判断する指標の一つにすぎず、98度に上昇した原因も分析できていないのに短期間で測定するのは意味が乏しい」と、九電の判断を支持している。しかし、東京大の井野博満名誉教授(金属材料学)は「温度が異常に高いことは事実。不安に応えるためにも、温度がどう変化しているのか、今回の定期検査で調べるべきだ」と話している。

西日本新聞 Word Box

 

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