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流通している食品は安全という言葉はウソだった! 99.9%以上がノーチェックで流通

7月 23rd, 2011 | Posted by nanohana in 0 人気のある記事 | 1 食品 | 3 政府の方針と対応 | 3 隠蔽・情報操作と圧力

福島産の牛の半数と豚の3分の1は基準値以下だが汚染されている追記しました。
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福島県全域の出荷停止に発展した汚染牛問題。セシウムに高度汚染された牛肉の大量流通は大きな問題ですが、これほど広範囲な汚染牛の流通がいままで全くわかっていなかったことはもっともっと大きな問題ではないでしょうか?

流通している食品は安全だという日本政府の発表から大きくかけ離れたこの現実。
なぜ、危険な食品のこれほど大規模な流通がこれまで見過ごされてきたのか?

福島県庁に問い合わせたところ、その答えは簡単にわかりました。
福島県産の牛肉のうちおよそ8割にあたる県外に出荷する牛肉について、県は何も汚染の調査をしてなかったのです。これらの牛は調査もなく流通しました。政府の安全というお墨付きで。
以前nanohanaで「調べてないから出ないだけ」という記事を書きました、全くそれが裏付けられたかたちで、ショックでした。

福島県庁によると、福島県産の牛肉で放射能の検査をしているのは郡山の食肉流通センター(と殺場)に出荷された牛のみだそうです。およそ全体の2割ほどがここを通じて流通する。そのほかの8割は県外の流通センターを通じて流通するそうですが、これら8割の牛についてはスクーリニングという体表の汚れを調べるだけで、肉については全くのノーチェックで市場に出回ってるということでした。

県は郡山の流通センターを経由した牛の中から、震災後3月31に検査を始めてから今までに17回、合計74頭の牛の肉について放射線量の測定をしました。
一年に福島県全域で出荷される肉牛はおよそ3万3千頭(平成21年実績)。震災からこれまでに出荷された頭数の正確な統計はまだ無いそうですが、およそ1万頭前後が出荷されただろうという話です。74頭といえば、そのうちの1%にも及びません。
今回はたまたま、その1%未満に1頭がひっかかったから汚染が表に出たのです。この1頭が引っかかってなければ、今も、これからも汚染牛はそれと知られずに流通し、”流通しているものは安全”と思って消費され続けたと思うとゾッとします。

さらに逆にかんがえると、1%未満しか検査していないのに、それにひかかっるほど多くの牛が汚染されているのです。今わかっている汚染牛648頭の内、福島県産は554頭。1万頭の出荷とすればそのおよそ5%が汚染牛だったわけです。そして、この数字は今わかっている分だけです。これからもっともっと出てくるかも知れないし、もう永遠にわからなくなってしまった分もあるかも知れない。ミニマム5%、ホントの所はわからない・・・

この際はっきりさせましょう。流通している食品は安全だというのはデマです。政府がこれほどまでにずさんなチェック態勢を、安全と言い切っていたというのはおそろしいことです。全く何の根拠もない。ノーチェックなのですから。科学的かどうか以前の問題です。
そして、これは何も牛肉に限ったことではない。豚肉も鶏肉も野菜も水産物も、すべての食品がほぼノーチェックで出回っているというのが現実です。

豚肉と鶏肉は同じく郡山の食肉流通センターのみで、牛肉と一緒にチェックされていました。牛肉と同時なのでこれまでに17回。合計で豚は30頭弱ニワトリは20羽弱だそうです。たった、それだけです。牛と同じく、県外の流通センターを通じて出荷したものはノーチェックですので、これがすべてです。

県庁の方の説明では、豚とニワトリは室内で配合飼料だけで飼育するので、放射能に汚染されることは無いとおっしゃってました。そして、事実、検査したすべてが検出限界を下回ったのだそうです。
それはそうかもしれないけど・・・
だからって、もうちょっと検査やってもいんじゃないでしょうか。20や30じゃせっかくの良い材料も説得力を持たないと思いますが。

野菜は、県庁の中では別の部署の担当なのですが、やっていることは似たり寄ったりでした。月水木の週3回、1回につきおよそ60点、1週間でMAX200点ほどを検査するそうです。あらゆる野菜の種類すべて合計で、です。特にそのときの旬の野菜と、汚染が出て出荷制限されているものは力を入れて点数多く調べるそうですが、野菜の種類によっては、中国野菜などマイナーなものは、全く調べてないのもあると言ってました。いずれにしても週に多くて200点、月に800点、4月から3ヶ月で2400点。すべての野菜の種類の合計でこれが全部です。1種類では3桁行かないかも知れないくらいのサンプル数です。

出荷数は牛や豚やニワトリの比では無いと思うので、これはあまりに少ない数です。ほとんどノーチェックに近い。
これが、政府が堂々と言っていた、「流通しているものは安全」の中身です。

震災後、日本政府の言動はウソくさく、たくさんの隠蔽があり、まったく信用ならないとは思っていましたが、これほどまでに、根拠のない”安全宣言”をしていたというのははっきり言って驚きでした。
多少なりともまんべんなくサンプル調査が行われるような気配りがあるものだと、うかつにも思っていました。実態はこれです。調査なんてお茶を濁す程にもやってなかった。

この問題が残した傷は大きいと思います。
国民はますます国の言うことが信用できなくなった。これでは、とても福島産はじめ東北各県の食品を受け入れる気にはなれないと思います。結局大きな被害を受けるのは福島や東北各県の生産者です。
今日、県庁の方にもお話ししましたが、国がやらないのなら県が独自に厳しい検査基準を設けて、出来るだけたくさんの検査をし、その数値を詳しく公表すること。品物をその検査数値と一緒に流通させること。それしか生産者の被害を小さくする道は無いように思われます。(当然のことですが、生産者が被った被害は東電と国が全額弁償するべきです。生産物を全部買い上げてほしいくらいだ。)

わからないことほど不安はありません。たとえ汚染されていたとしても、数値が示されている方が良い。自分で判断して買うか買わないか決めることが出来ます。汚染されているかもしれないし、されていないかもしれない。そのような情報量では、怖くて買うことが出来ません。生産者や行政は”風評”を恐れて出来るだけ調査を少なくし、汚染度をわからないようにしたいのでしょうが、おそらくそれは賢明な戦略では無い。そんな意識のところから、食品を買う消費者は多くないと思います。

最後に、いいかげんにしろよといいたくなる政治家達の発言を二つ
7月3日、NHK特集「広がる放射能汚染」という番組の中で、大塚厚生労働副大臣が、「全品検査できるわけではない。サンプリングですから。規制値を越えたものが全く流通していないと確信のできる状況では無い」と言っています。完璧にこれまでの政府の”流通しているものは安全”という発言を覆す内容ですが、いままでそれを安全と言ってきたことへの言及はありません。

もう一つは、7月4日放送のBSフジのプライムニュースという番組で、『内部被ばくを徹底検証 厚労・農林両副大臣ほか』の中で、篠原孝農林水産副大臣が「農林水産省は、福島を食べて応援キャンペーンをやっておりますが、これは子ども達には、当てはめるべきではない」と言ってます。正直なのか頭がおかしいのかわかりませんが、自分たちで食べよう!とキャンペーンしておいて、あとから実は安全ではないと言ってのけるとは。しかも、ごめんでも何でもありません。

結論。いまさらだが、日本政府の、食品の放射能汚染への対応は全く信用が出来ない。流通している食品は安全というのは出まかせで、根拠はなにも無かった。残念ながら、危険な食品が流通しているのが日本の現状。当面、わたしたちは自分や家族を自分たち自身で守ってゆくしかなさそうです。

 

7月22日追記

郡山の食肉センターに出荷された20%だけが検査の対象になっていたと書きましたが、訂正します。東京の食肉センターも福島県に協力して検査をやってたそうです。今回の牛の最初の一頭はその東京で発見されています。
しかし東京の検査を合わせても、出荷全体数に対する検査サンプルの割合は1%どころではありませんでした。今回、わかっているだけで1485頭以上の汚染エサを食べた牛が出荷され、そのうちサンプリング検査で発見されたのはわずか1頭。
従って、1%以下しか検査されずにあとはノーチャックと書きましたが、これは間違いで、実際は検査されていたのは0.1%以下。99.93%がノーチェックで出荷されていたことになります。ほぼ何もやってなかったということです。
そして、繰り返しますが、これは牛肉だけの問題ではありません。
すべての食品がこの感じで出荷されているのです。牛肉だけ出荷停止すれば良いというものではありません。すべての食品を検査して、証明書でもつけてもらわない限り、とても口にする気にはなれません。

すべての国産食品に放射線量の測定値の明記を希望します。
もう、それしかない。
7月20日 nanohana
 

 

7月23日追記:

福島産の牛の半数と豚の3分の1は基準値以下だが汚染されている

コメント欄にあるように読者の方から、全国で今までに行われたすべてのサンプル検査の一覧表を教えていただきました。こちら、農林水産省のHPです。大変貴重な情報をありがとうございます。
このページにより、状況がより正確にわかりましたので、訂正を含めて追記します。

農水省の資料より、最初のサンプル検査が行われた3月23日から、暫定基準値超えの汚染牛1頭が発見された7月8日までの分を抜き出しました。(7月9日以降、牛の追跡調査がどっと増えていて同列に語れないので)。なお、本編の記事は福島県の7月19日の分までの検査結果を元に書かれています。

農水省のHPが扱っているのは、福島をはじめ新潟、東京など全国で行われたすべてのサンプル検査の一覧です。牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉と鶏卵について検査が行われていて、産地はほとんど福島ですが、若干茨城産や千葉産など、福島以外のものも混じります。

3月23日から7月8日までに、牛60頭、豚73頭、ニワトリ35羽、馬1頭、不明の肉2点、鶏卵56個の合計227点の検査が行われています。全国でこれがすべてです。

注目すべきなのは、7月8日以前のサンプルの中には基準値超えはないものの、当然ですが汚染がゼロなわけもなく、牛肉ではセシウム134と137の合計で395ベクレル/kgを最高に、半数以上(60頭中34頭)が汚染されているという恐ろしい現実がわかります
また、福島県庁の方が自身ありげに豚とニワトリは室内で配合飼料で飼うので放射能に汚染されないとおっしゃってましたが、実際には豚は牛よりはいくらか汚染度が低い(73頭中23頭からセシウム検出)感じはしますが、それでも汚染されていないわけではなく、最高値は270ベクレル/kgのものが出ています。鶏肉、鶏卵は確かにほとんどが不検出ですが、数例が汚染され、鶏肉が12.2ベクレル/kg、鶏卵が11.4ベクレル/kgが出ています。

以上から、明らかなように豚は汚染されないというのは間違いで、牛と同じように汚染されています。
また、ゆるゆるの暫定基準値を超えていなくてもかなりの汚染度のものがノーチェックの99.9%はもちろん、検査を受けたものでも市場に出回っています。

結論:全国の牛、豚を全頭検査し、検査数値をつけて販売するべきです。それ以外では消費者が国産の牛豚を安心してたべることはできず、結果的に生産者も衰退します

 

 

 

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2 Responses

  • 明田守正 says:

    丁寧な調査お疲れ様です。そうなんですか。大変参考になります。ありがとうございます。
    ですが、発見されたのは一頭というのは正確ではないかと思います。下記に情報があります。
    http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/seisan_kensa.html ご参考になれば幸いです。

    • nanohana says:

      コメント、ありがとうございます。

      お教えいただいた資料は今までに行われたすべてのサンプル検査の一覧ですね。
      貴重な情報をありがとうございます。早速、記事に活用させていただきます。

      ご指摘の点ですが、最初に暫定基準値超えの汚染牛が検出されたのは、7月8日に都立芝浦と場に搬入された南相馬市の緊急時避難準備区域内の農家から出荷の牛11頭のうちの1頭だったと認識しております。

      その後、この牛が基準値を超えたため、残りの10頭も検査を行い、7月9日、そのすべてから基準値超えのセシウムが検出されています。7月8日に都立芝浦と場に搬入された牛の中からこの1頭がサンプル検査の網にかかったことにより、残りの10頭はじめそれ以前に出荷されていた1600頭を超える汚染牛の追跡調査が始まったわけです。

      もし、この1頭がサンプル調査の網をすり抜けていたら、これら1600頭の牛は今も誰も知ることなく流通・消費されていたでしょう。
      逆に言えば、この1頭がサンプルの網にかかるまでに、少なくとも1600頭がその網をすり抜けていたことになります。
      ということで、検出率1/1600以下の検査しか行われていなかったといえると思います。

      お教えいただいた資料からもそのように読み取れますが、こちらの新聞の記事もご参考ください。
      時事通信 7月9日



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