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「もんじゅ」で何が起きているのか

6月 22nd, 2011 | Posted by nanohana in 4 他の原発全般

KTV スーパーニュースアンカー 2011年6月21日放送の番組バックナンバー

トラブル復旧作業ヤマ場へ 「もんじゅ」で何が起きているのか
特集は、福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」です。
去年8月に起きた装置の落下事故で、手がつけられない状態になっています。
ようやく今週にも装置を引き抜く工事が行われますが、なぜ、これほど時間がかかっているのでしょうか。
かつて、「夢の原子炉」と呼ばれたもんじゅの現状を取材しました 

【原子力機構・鈴木篤之理事長(去年)】「申し訳ありませんでした」

福井県の敦賀市長に頭を下げる、原子力機構の理事長。
去年8月、研究を行うもんじゅの原子炉内で装置が落下した事故の謝罪に訪れたのです。

もんじゅは、使用済みの核燃料からプルトニウムを取り出して、再び燃料として使おうという「高速増殖炉」です。
資源の乏しい日本にとって「夢の原子炉」だと期待されていました。

1995年には本格運転を行う予定でしたが、ナトリウム漏れ事故を起こして運転を休止。
長い空白を経て、去年、14年半ぶりに試験を再開した矢先に装置落下事故を起こしたのです。

インターネット上では、「福島第一原発よりも危ない」などの書き込みが相次ぎ、もんじゅから出る水蒸気を見た人からは「爆発ではないか」とするデマまで流れました。

【記者リポート】「もんじゅの内部では、作業員が懸命に作業を行っています。今、もんじゅに何が起こっているのでしょうか」

【もんじゅ・中西征二特別広報監】「燃料交換装置を引き抜こうとしたんです。そのときに上の部分を十分つかみきれず、落下してしまった」

原子炉内の燃料棒を運ぶための装置をつりあげる際、つかむ部分のネジが「設計ミス」のため緩み、重さ3.3トンの装置が落ちたのが、今回の事故です。

引き抜こうとしても、衝撃で装置が変形したため途中でひっかかり、これまで2度、失敗しました。
原子炉は冷温停止状態ですが、引き抜き作業は10ヵ月もの間、中断したままです。

手が付けられない理由は、高速増殖炉では炉を冷やすのに、水ではなくナトリウムを使わねばならないからです。

【もんじゅ・中西特別広報監】「ナトリウムは空気中の酸素や水分と反応しやすい。ヘタをすると燃えてしまう。普通のナトリウムは放射能を持っていないが、炉心を通る間に放射能を帯びているので人間にあたるとまずい」
また、元原子炉格納容器設計者は、高速増殖炉はそもそも実用化が難しいと指摘します。

【元原子炉格納容器設計者・後藤政志氏】「極めて危険な原子炉のところで、極めて危険な流体(ナトリウム)を使う。そうすると絶対に漏れてはいけない。そんなことは不可能」

「(高速増殖炉は)ものすごくリスクが高い。核大国のフランスもアメリカも撤退した」「機械がちょっと壊れてひっかかっているだけの話なのに、何もできないなんて『設計』じゃない」

地元の人はどう考えているのでしょうか?

【地元の人】「怖いね、何かあったらどうなるのかと」「凡ミスがあったらダメ、ああいうところは。国の産業のためにやっているから、頭からダメとは言わな いが、お金の使い方としては、どうにかならないのか」「心の中の不安はありますが、日本に資源が入らないとなると、(核燃料を)再利用していかないとダメ じゃないかな」

 

落下した装置だけを引き抜くのは難しいため、もんじゅでは装置が入る筒ごと引き抜こうと、十数億円かけて工事の準備作業が進められています。

原子力機構は、装置についたナトリウムが反応して燃えないよう、包み込む筒に空気が入らないガスを入れていて、安全に引き抜けると説明しています。

【高速増殖炉研究開発センター・近藤悟所長】「みなさんにお約束していますが、安全最優先でやっていきます。『何かあったら立ち止まる』というのが基本的な考え方です」

これまで9000億円を超す事業費をつぎ込み、実用化は40年も先という「夢の原子炉」もんじゅ。
引き抜きが成功しても、今後のあり方についての議論が必要になりそうです。

2011年6月21日放送

 

スーパーニュース アンカー




 

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