東京新聞 2012.1.31
福島第一原発の配管などで凍結による水漏れが相次いでいる問題で、東京電力が昨年夏の時点で、冬季の凍結による配管破損の危険性を認識していたにもかかわらず、対策をせずに数カ月間放置していたことが三十日、東電などへの取材で分かった。
東電は三十日にも、浄化した汚染水を蒸発濃縮する装置付近など新たに四件の水漏れが見つかったと発表、発生件数は二十三件に上った。
東電の説明では昨年夏、高濃度汚染水を浄化し原子炉の冷却に再利用する循環式冷却をより安定化させる方策を検討。その際、現場の作業員などから、今のうちに凍結防止対策として、配管に保温材を巻くことや、ヒーターを設置すべきだとの意見・提案があった。
しかし、東電は作業員確保が難しいことなどを理由に、対策を先送りした。ごく一部で対策を始めたのは、既に冷え込んだ昨年暮れになってからだった。
作業員らの指摘通り、寒さが本格化した一月八日に4号機使用済み核燃料プールの熱交換器で起きたのを皮切りに、水漏れが多発。いずれも保温材やヒーターがない配管で起きていることから、凍結による水漏れが確実視されている。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は本紙の取材に「凍結防止対策の必要性は認識していた。工事の準備は夏から進めていたが、水処理設備の安定化といった作業を優先した」と、先送りしていたことを認めた。
今のところ、高濃度汚染水の漏出や原子炉の注水停止といった深刻な事態は起きていないが、廃炉にめどがつくまで長期安定の水循環は不可欠。東電は「パトロールを強化していく」としているが、冬季前に対策を終えていれば、水漏れの対応に人員が取られる事態も防げた可能性が高い。
(東京新聞)
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