都内、広がる電力入札 東電値上げで19区実施・検討
1月 29th, 2012 | Posted by in 3 首長、自治体東京新聞 2012.1.29
自治体が使う電気を、東京電力などの電力会社ではなく、電力自由化で参入した特定規模電気事業者(PPS)から購入しようとする動きが広がっている。首都圏では都県や政令市、多摩地区で競争入札などが導入され、経費削減効果を上げている。東電の値上げ方針で注目度がさらに高まり、東京二十三区では十九区が実施・検討している。
電力の小売り自由化は二〇〇〇年に始まった。当初はPPSも少なく、入札を実施しても東電以外に応札がないケースもあったが、PPSの増加と販売対象電力の拡大で、徐々に電力入札の導入が広がった。
都内の区市町村では、立川市が一〇年度に市営競輪場が使用する電力の供給会社について、PPSらから見積書を出させて選定する方式で、商社系PPSと契約し、年間千六百六十万円(27%)の節約を達成した。一一年度は導入対象を小中学校など五十三施設に広げ、PPS三社と契約し、15~20%の節約を見込む。市の担当者は「効果は十分。一二年度は市役所本庁舎にも導入する予定だ」と話す。
特別区では、世田谷区が二月下旬に百十一施設を対象に競争入札する予定で、年間計二千万円(3%)の節約を見込む。渋谷区は本庁舎と渋谷公会堂について入札を実施して今月から購入し、東電に比べ年間約三百万円(3・6%)の節約ができるという。足立区も「東電が値上げを予定しているので、電力料金の低減化を図る」として一二年度に入札を行う方針だ。
東京都、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬県でも一部入札を行っており、千葉県は本庁舎使用分で約10%の経費削減ができたという。横浜市は〇一年度に五施設で入札を始め、いまでは約九百施設に拡大。三分の二をPPS、残りの大半は東電が落札している。
ただ、PPSは電力会社に比べて供給能力が大幅に低い上、事業者数も四十九社にとどまり、「東電の値上げ発表でPPSに需要が集中し始めたと聞くので、供給力がどれくらいあるか調べなければならない」(豊島区)との声も出ている。
実際に渋谷区は指名競争入札で六社を指名したが、参加したのは二社にとどまった。埼玉県では一一年度分の本庁舎の入札に応札が一社しかなく、担当者は「燃料価格の変動など、いろいろな要素があるのだろう」と話している。
この記事は 東京新聞
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