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強毒の鳥インフル 人への感染の仕組み解明 テロへの悪用のおそれから論文の掲載紛糾 世界の科学者が異例の研究停止宣言

1月 22nd, 2012 | Posted by nanohana in 7 社会 | 7 軍事 | 8 科学

鳥インフル研究中断 “異例”の声明
NHK 2012.1.21

毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザウイルスがほ乳類に感染する仕組みを調べる研究が、テロに悪用されるおそれがあると指摘されていることを受けて、アメリカや日本など世界の研究者が、「研究の在り方について議論する時間が必要だ」として、60日間この分野の研究を中断するという異例の声明を発表しました。

声明はアメリカや日本など世界の研究者39人が連名で発表したもので、科学雑誌「サイエンス」と「ネイチャー」の電子版に同時に掲載されました。H5N1型の鳥インフルエンザウイルスは、アジアやアフリカなどでヒトに感染して60%近くが死亡しており、ヒトからヒトに感染を広げるウイルスに変化しないか監視が続けられています。声明は、このウイルスがほ乳類で感染を広げる遺伝子の変化を調べた日本とオランダの研究者のグループに対し、アメリカ政府が、「テロに悪用されるおそれがある」として、詳細な論文を公表しないよう求めたことを受けて出されました。この中では、「ヒトでの流行を防ぐワクチン開発などの対策を進めるために今回の研究は重要だ」と強調したうえで、「研究の在り方について議論する時間が必要だ」として、60日間この分野の研究を中断するとしています。そして、国際会議の場で科学者が議論することを求めています。世界の研究者が一斉に研究を中断するのは極めて異例のことで、H5N1型の鳥インフルエンザウイルスの研究や論文の発表が今後どのように行われるのか、国際的に関心が高まっています。

今回の論文をまとめ、各国の研究者とともに声明を出した東京大学医科学研究所の河岡義裕教授は、「アメリカの専門家がわれわれとオランダの研究成果を問題視して危険性を強調したため、一般の市民が不安を抱く結果となった。多くの人の命と健康を守るためには必要な研究であり、休止するのは問題だが、一般の人に安心してもらえるよう、研究を一時休止してその重要性を理解してもらう時間を持つことが重要だと考えた」と話しています。そのうえで、H5N1型の鳥インフルエンザウイルスに関する研究について、「さまざまな分野の専門家や政策を決定する人たちが議論して、十分に理解を深める必要がある。それらの議論を踏まえて一日も早く研究を再開し、新型インフルエンザの世界的な大流行に備えた対策に生かすべきだ」と話しています。

声明に名前を連ねた国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの田代眞人センター長は、「アメリカで政治家や議会が中心になって、研究を禁止すべきだという議論が起きてきたので、さまざまな方向から検討し、合意を得るために60日間研究を中断することにした。研究を進めることは、H5N1型の鳥インフルエンザウイルスの対策を考えるうえで重要だが、一方でその情報が悪用されるという危惧を否定することはできないと考えた。どうすることが人類にとってよいのか、合意できる努力をしていく必要があるが、自然界ではH5N1型がヒト型に向けて変化してきており、研究を禁止すると監視ができなくなるという問題があることは考えておくべきだ」と話しています。

この記事は NHK

 

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