地球と7代先のこどもたちを元気にしてゆく情報発信サイト
Header

県外への自主避難者、認可保育高いハードル 自治体対応に差

1月 3rd, 2012 | Posted by nanohana in 1 避難 | 3 首長、自治体

河北新報 2012.1.1

 福島第1原発事故によって住民票を移さず自主避難した福島県などの家庭が、避難先の自治体で公立などの認可保育所を利用できないケースが出ている。避難先の保育所であっても保育費用を負担するのは住民票がある避難元の自治体で、その自治体の考え方により「住民票を移せば済む」などの理由で利用を認めない例があるため。自主避難家庭から不満の声が上がっている。

 新潟市に自主避難した福島県郡山市の会社員女性(42)は、子どもが新潟市内の認可保育所に入れるよう郡山市に「広域入所」を申請した。住民票を移さなくとも入所できる制度だが、「市の実施要綱に当てはまらない」との理由で認められなかった。
 認可保育所に広域入所する場合、住民票のある自治体が避難先の自治体に保育を要請し、費用を負担する。利用者は住民票のある自治体に保育料を支払う。
 女性は6年前に住宅をローンで購入し、郡山市に家族5人で暮らしていた。長女(4)は市立保育園に通っていた。自宅の放射線量を6月に測ると、リビングで毎時0.8マイクロシーベルト、外の雨どい付近は23マイクロシーベルトだったという。
 「子どもが心配」と9月に家族全員で避難したが、「郡山市とのつながりを残すため」として住民票は移していない。
 郡山市は国が指定する原発事故の避難区域に含まれず、避難者が引っ越し先でも行政サービスを受けられるよう定めた特例法が適用されない。入所を認めるかどうかは実施要綱などを基にした避難元の市町村の判断によるしかなく、郡山市は実家に戻って出産する時や親の勤務先が市外の場合などに限っている。
 同じ福島県内でも白河市や須賀川市は「避難先で生活費を工面するために働く母親もいる」「税金だけ取るわけにはいかない」と広域入所を認めている。自主避難家庭の広域入所を認めるかどうかについて、同県浜通りと中通りの11市の対応は表のようにほぼ半々に分かれている。
 郡山市保育課は「費用負担の問題で認めないのではなく、要綱に(該当項目が)ないのが理由。要綱を改定するかどうかは検討中」と話す。
 郡山市内の放射線量は現在、毎時0.7マイクロシーベルト前後。市の認可保育所では外遊びの時間が1日15~30分に制限され、女性は「郡山市内で通常の保育が行われているとは思えない」と言う。
 福島県災害対策本部によると、原発事故の影響による県外避難者は約6万1700人で、うち約4割が自主避難者。保育園児の自主避難者数は把握していない。
 「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の中手聖一代表は「経験したことのない災害で、法律が追い付いていない。帰還の望みを持ちつつ戻れない人たちが困らないよう、運用面を改善すべきだ」と話す。 

2012年01月01日日曜日

この記事は
河北新報

 

You can follow any responses to this entry through the You can leave a response, or trackback.

Leave a Reply

Bad Behavior has blocked 2587 access attempts in the last 7 days.