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政府事故調の中間報告 人為的ミスを強調、地震によるシステム崩壊を隠蔽し、原発の安全性を巧妙にアピール

12月 30th, 2011 | Posted by nanohana in 3 政府の方針と対応 | 3 隠蔽・情報操作と圧力 | 4 事故原因

 2011.12.27

「意図的情報隠し」を意図的に隠した政府事故調

 「初動に誤りがあり、その背景には幅広く原発の安全を考える視点が欠けていた」という中間報告が昨日12月26日に発表されました。これは一見すると、「無難な調査結果」の印象を与えます。しかし、重大な問題を含んでいます。それは、巧妙に原発の維持・推進の方向を潜ませているからです。

 「失敗学」の権威とされる畑村洋太郎・東大名誉教授が指揮を執る福島第一原発の事故調査・検証委員会は、どんな調査結果をまとめるのか、大変大きな関心を持っていました。ところが出てきたのは、極めて中途半端な、局部にしぼった内容でした。これでは調査結果は、「失敗」だったと言わざるを得ません。

 調査結果を簡単にまとめるなら、「初動に誤りがあり、人災だった。幅広い安全の視点が欠けていた」というのですが、それなら、初動のミスを防ぐ手立てを取れば、今後は大丈夫、さらには幅広い安全の対策を取れば、「原発は安全に継続できる」という結論になってしまいます。最初から「原発ノー」の結論が出ないような調査結果とするという暗黙の了解があったようにすら受け取れます。

 朝日新聞、読売新聞など大手メディアは当然のことながら、この調査結果を本日の社説で取り上げています。しかし朝日はまず、「原子力の当事者自身も安全ぼけに陥っていなかったか」と、寝ぼけた指摘をしています。津波対策の不足にしろ、原子炉の安全性に対する警鐘にしろ、沢山なされていたではありませんか。それを無視し、否定して、意図的に排除してきたのは、原子力ムラであり、新聞自身ではありませんか。決して「安全神話による安全ぼけ」などではありません。原子力ムラは、「そんな安全対策を実施すれば、コストが高くなりすぎて採算が取れない」と、経済性で否定してきました。

 読売新聞の社説にいたっては、「中間報告は、地震に寄る重大な損傷はなかったとの判断も示している。停止している各地の原発について、政府が再稼働を判断する際に考慮すべき事実だろう」と、我田引水、「原発は再稼働すべき」という読売の主張へ強引に結び付けています。読売新聞の主張通り、原発をこれからも推進し、そのあげくに新たに過酷な原発事故が起きた場合、どのようなメディアとしての責任をとるのでしょうか。

 読売新聞は、かつての太平洋戦争をあおったことに対しても、何ら責任をとったことはありません。無責任が習い性になっています。しかし、国の国益を損なうことがあっては、あえていえば「国賊」です。原発に関する限り、読売は「国賊」の道をあおっているのです。

 中間報告では、官邸がウソをつき続けたことに対しても、解明は極めて不十分。とくに枝野官房長官(当時)らが主導して、情報隠しを行い、「直ちに影響はありません」と言明して、被災地の多くの人に無用の放射能被曝をさせたことなどの指摘は、意図的に弱められています。刑事被告人として訴追できるだけの”証拠”を、事故調は明確にすべきです。

 来夏に最終報告書を取りまとめる段取りですが、その内容は世界が注目しています。

 

 

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