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山田正彦:なぜ、消費税の前にやるべきことをやらないのか

12月 30th, 2011 | Posted by nanohana in 5 オピニオン | 7 政治

THE JOURNAL 2011.12.25

 民主党では「税と社会保障の一体改革」についてのPTが、野田総理の不退転の決意のもとに連日激しい議論を続けている。高齢化で伸び続けている社会保障費の伸びを、消費税を5%上げて賄おうとする意図だが、間違っている。私には消費税を上げるために、財務省が描いたシナリオに野田総理がその通りに動いているとしか思えない。

 私たち民主党は任期中、4年間は消費税を上げないことを約束して政権交代した。政権交代する前に私はネクスト厚生労働大臣をさせていただいて、年金の一元化と最低保障年金7万円をマニフエストに盛り込んだ。

 当時民主党のネクストキャビネットにおいて、公的医療保険について、協会健保(当時は政管健保)と組合健保の一元的運用、将来に向けての一本化と、国民健康保険も全国一律にすることを決定した。

 覚えているだろうか。長妻さんが消えた年金を徹底的に追求して、旧社会保険庁のずさんさを主張して、我々は国税庁と社会保険庁を合体して「歳入庁」を創設することをマニフエストで約束した。

 先ず私たちは消費増税をする前に、約束したことの実現を図らなければならない。

 連日、社会保障と税の一体改革のPTは開かれているが、その中で5%の消費税のうち、4%は財政の赤字補填のために使われることが明らかになった。このことはPT参加の全員が認めるところとなっている。高齢化を迎えて医療、介護費用が年に1兆円も増えるので、どうしても消費税を上げなければならないという政府の説明は、国民を欺いていたことが明らかになったのだ。

 私は公的医療保険のうち、中小零細企業が負担している協会健保は所得に対しての保険料率が9.34%なのに、主に大企業の組合健保が6%から7%なので、協会健保並みに保険料率をすれば、どれだけの保険料が新たに徴収できるか厚生労働省に試算させた。なんと概算で1兆3000億円が新たな財源として、確保できる。

 さらに、定年後のサラリーマンなどが負担している国民健康保険にいたっては、各市町村単位なので、私の故郷五島市などでは所得の15%も負担されている。国保では所得の上限が400万円までと定められているので、年に400万円の所得の人と我々国会議員2000万円の収入がある者も同じ保険料を負担している。

 この上限を撤廃すれば3400億円の新たな保険料の収入があることを厚労省は明らかにしたのだ。

 これに公務員の共済保険も保険料率を一律にすれば、消費増税をしなくても、2,3兆円の保険料を徴収できることになって、これだけで高齢者の社会保障費の自然増分は賄えて、何も消費税を上げる必要は全くないことになる。

 私は社会保障と税の一体改革のPT総会で、さらに吼えまくった。「我々は消えた年季で社会保険庁の年金の管理がずさんなことに呆れて、国税庁と一緒にして「歳入庁」を新たに設置することをマニフエストとして、政権交代したではないか。

 国税庁が法人の事業所から徴税できているのは253万件、独立行政法人年金機構(旧社会保険庁)が徴収できているのは175万件、国税庁を歳入庁としてこれをすべて一度に徴収すれば保険料で5兆円、年金で5兆円は新たな財源として確保できるはずで、ここで財務省の言いなりになって消費税をあげる必要はない。皆がシーンとして聞いてくれた。

 連日、主張してようやく「歳入庁」をPTで明記することになった。

 厚生労働省、財務省も私に徴収している法人の事業者数を明らかにしたが、それでも71万事業者から旧社会保険庁は徴収できてないことが分った。

 それに政府が主張している共通番号(納税者番号)ができれば、クロヨンなど(サラリーマンは9割、事業者6割、農漁業差などからは4割しか徴収できてないと言われていた)として補足できなかった分も徴収できればもう5兆円ほどは新たな財源になるのではないだろうか。

 私にはどうしても、この時期に消費税を上げることには納得ができない。デフレが20年も続いて、大震災、福島原発の放射能汚染もあって景気は冷え込んでいる。このようなときに、増税の議論をするだけで先行きの不安を感じて消費者の財布は固くなっていく。景気はさらに冷え込んで、税収も減るのではないだろうか。かつてない円高で企業の空洞化もさらに進んでいる。

 むしろ、このようなときこそ、国債を50兆円ほど発行して、大震災の復興もあることだから市場なり日銀なりに引き受けさせて市場に流通させることが必要ではないか。

 そうすれば名目GDPも増えて、国民の間まで金が回り始め消費も伸びることになる。

 かねてからの念願であったてデフレからも脱却できて、インフレ基調に戻すことができる。

 そうすれば年金のスライド制で、物価が下がった分の払いすぎたと言われている7兆円の特例措置を解消してこれから3年間で2,5%年金を減らしていく必要もなくなる。

 当然のことながら、ドル資産に比べて、円資産を増大させることになって、円も下がって1ドル100円ほどになって、企業の空洞化も止まって輸出も伸びて税収も増えていく。

 ところが、財務省や野田執行部はそのようなことをすれば、地方も合わせて1000兆円にもなろうとしている国の債務がさらに膨らんで、すぐに国債の金利が上がりギリシャのように財政は破綻してしまうと反論する。

 しかし考えていただきたい。世界で一番円が買われていること、日本の国債金利がずば抜けて低いことを考えれば、日本の財政は世界でもっとも健全であると言える。

 米国も雇用拡大のために通貨の量的緩和を図り、米国債を発行してドル資産を3倍に増やしたが、米国国債の金利はむしろ下がり続けている。

 日本でも50兆円の国債を発行しても、今のようなデフレの状態では国民にとって、国債が一番信用できる金融資産だから金利が上がっていくことはない。

 今であれば大震災、福島原発のためといった国際的な言い訳もできる。

 何故そうしないのだろうか。

この記事は
THE JOURNAL

 

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