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【現地リポート】 年の瀬の福島は今(上) ~高線量のまま2012年へ

12月 27th, 2011 | Posted by nanohana in 1 子供たちを守ろう | 1 放射能汚染 | 1 福島を救え | 1 除染

フリーライター・鈴木博喜 民の声新聞 2011.12.24

タクシーの運転手は「どうなっちゃうんだろうねぇ」とため息をついた。犬の散歩中の老人は 「除染なんかできっこねえべ」と怒りを露わにした。幼子を抱えた若い母親は「もううんざり。放射能のない場所で生活をしたい」と遠くを見つめた…。福島原 発事故による被曝被害が続く福島は結局、五里霧中のまま新年を迎える。除染に巨額の金がつぎ込まれても線量は下がらず、実際、福島県庁付近で毎時6μSV を計測。県職員ですら「住宅敷地内で10μSVが計測されることもも珍しくない」と平然と口にするのが実情だ。毎月続けてきた福島取材。ある自治体職員は 苦笑した。「結局、何も変わらなかったですね」。何も変わらない、何も進まなかった9カ月。福島の民は収束宣言や米の安全宣言がいかに空虚かよく分かって いる。今日はクリスマスイヴ。福島駅前に飾られた民の願いは、いつになったら星に届くのだろうか。「はやく原発が収束して、福島に平和が訪れますように」

【知事公館横で鳴り響いた警報音】
1.20μSVに設定したガイガーカウンターの警報音で分かった。
線量が高い時は鳴り方が激しいのだ。
マスク姿の自分が緊張するのが分かる。
側溝に測定器を近づける。軒並み毎時4~5μSVを計測。最高で6.17μSVに達した。除染が進んだはずの福島市内だが、線量の高さは変わっていないのだ。
21日昼過ぎ。福島県庁駐輪場の裏手、知事公館横の側溝には、落ち葉がびっしりと敷き詰められていた。前日の雪も残る。1時間ほど続けたろうか。静かな裏通りにけたたましい警報音が響き渡る。私の横を時折人が通り過ぎたが、誰一人、警報音に関心を示す人はいなかった。
結果を知らせなければと県災害対策本部の原子力班を訪ねた。
真面目そうな職員が丁寧に応対したが、言葉は明確に拒絶を示していた。
「市民の方々からたくさんの情報をいただきます。しかし、よくお話をうかがうと庭の片隅とか点で高線量が計測されていることが多い。10μSVだって珍しくは無いですよ。でも、近づかなければ問題ないわけです。今回のケースも側溝であるため、その横を通過するだけでは健康に影響はないという考えです。24時間立ち止まるわけではありませんよね。ある程度の広さで面的に高線量が計測されれば詳細な調査をするなど対応しますが…」
放射性物質で汚染された落ち葉も、通常の可燃ごみとして福島市が焼却処分するという。
先月、郡山市でも高線量を確認した。
一方で毎日のように報じられる「除染すれば住める」の幻想。
毎時0.13μSVを超えれば、単純換算ながら年間被曝量が1mSVを上回ることを再認識する必要がある。


福島県庁近く、知事公館横の側溝で毎時6.17μSVを計測。
単純換算で年48mSVを超す値。県職員は「点で測れば
毎時10μSVも珍しくない」と涼しい顔で話した
=福島県福島市 12/21正午ごろ


【放射能を忘れて生活したい】
老若男女問わず、マスク姿が少なくなった福島市内。
「変に慣れてしまったのかな」
30代の母親は、生まれ育った福島に残り2か月と4歳の子どもを育てている。
「避難できるものならしたいですよ。でも、主人もここで仕事をしているし…。たまに放射線量を測ると高い値が出るから、こういう場所で子どもたちを歩かせて良いのかとは思います。でも本当に安全なのか、危険なのか、どちらも良く分からない。避難と言ったっていずれは戻ってくると思います。そうすると短期的な避難に意味があるのか…。正直なことを言うと、もううんざりなんですよ。テレビをつけても一日中放射線量がテロップで流れる。忘れたくても忘れられない。放射能の無い所で生活をしたいです」
別の母親は幼稚園児の娘の手を握りながらきっぱりと言った。
「敏感な人はとっくに避難しているだろうから、今残っている人は気にしていない人なんじゃないですか?私ですか?専門家の先生たちが問題ない線量だと言っているのだから、それを信じて暮らして行こうと思います」
雪の降る中、下校していた女子高生は「放射能?被曝?全然気にしていませんよ。マスクもしません」と明るい笑顔で話した。線量が高いことで知られる渡利地区の小学2年生の男の子は「マスクなんかしなくても平気だよ。時々するけれど、毎日しているとすぐにマスクがなくなっちゃうからってお母さんが言うんだ」と話してくれた。今年は夏休みが長かったため、冬休みは12/29~1/3と短期間なのだそうだ。男の子と別れた後、渡利小学校付近では毎時1.34μSVを計測した。マスクをしないと平気ではない場所で、マスクをしない子どもたちが生活しているのだ。



福島市役所ロビーのモニターは結局、
毎時1.00μSVを下回ることはなかった(上)
阿武隈川近くの東浜地区も線量が高い地域。
雪が残る空き地で毎時1.92μSVを計測した

【地元でも敬遠する福島産食材】
福島米からはこの間、佐藤雄平県知事による拙速な安全宣言をあざ笑うかのように放射性セシウムが検出され続けてきた。他の福島県産野菜や果物からも、暫定基準値内ながらもセシウムの検出は止まらない。
「うちら地元の人間だって福島産は敬遠するよ」
釣具店主は週末だけ、孫を山形県に避難させているが、食材にも気を付けているという。
「あれだけの事故が起きて、米から放射性物質が出ないわけがない。県は本当に検査をしたのか」と疑問を抱いている。
阿武隈川沿いで生まれ育った男性(66)は、北海道産の米を選んで3人の孫に食べさせている。
「買って応援?冗談じゃないよ。俺たちだって食べないのに。500ベクレル以下だって言われても嫌だよ。買ってすぐ捨てるのなら良いかも知れんけど」
家庭菜園でキウイフルーツを育てているが、孫には絶対に食べさせない。
大好きだった釣りもキノコ狩りもできなくなってしまった。
「本当につまらなくなっちゃったよ。除染すれば良いと言うけど、出来るわけねえべさ。いくら経っても線量が下がっていないんだから。米の検査だって、どうせ放射性物質が出ない田んぼを選んでやったんだろう。県知事はえらいことをしてくれたよ」
猛暑のなか、子どもたちのために熱中症とも闘いながら多くの大人が除染活動に汗を流した。
しかし、残念ながら著しい効果があったとは言いにくい。
学校表土にしても、汚染土が校庭に仮埋めされている状況は全く変わっていない。
子どもたちとの「同居」は年が変わっても続くのだ。


東北農政局には「食べて応援しよう」のノボリはあるが、
放射性物質による食品汚染に関する広報はない(上)
福島駅前で展開中の「星に願いを」キャンペーン。
原発収束へ切実な願いも見られる(下)

(了)

この記事は
フリーライター・鈴木博喜 民の声新聞 2011.12.24

 

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